研究課題/領域番号 |
14J40094
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
動物生理・行動
|
研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
山下 絵美 大阪市立大学, 理学研究科, 特別研究員(RPD)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-25 – 2020-03-31
|
研究課題ステータス |
採択後辞退 (2017年度)
|
配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2017年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2016年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2015年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2014年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | ロドプシン / 松果体 / 光受容 / 波長識別 / パラピノプシン |
研究実績の概要 |
ゼブラフィッシュ松果体と副松果体に存在する紫外光受容型パラピノプシンPP1が関わる多様な光受容機能を理解するために、以下の解析を行った。
1、ゼブラフィッシュ松果体において、PP1がどのような生理機能を担うのかを明らかにすることを目指し、本年度は、様々な光条件下でのゼブラフィッシュの遊泳行動解析を行うために、LED照射装置を用いて水槽全体にUV光照射する装置を設計し、その作製を完了した。 2、ゼブラフィッシュ副松果体におけるPP1発現細胞の特徴や機能についての知見を得るために、形態学的手法を中心とした解析を試みた。 ・副松果体にどのような種類の光受容タンパク質が発現するのかを明らかにするために、松果体での発現が主に知られているPP2(可視光受容型パラピノプシン)、エクソロドプシン、赤錐体オプシンなどの光受容タンパク質について、免疫組織化学的に局在を調べた。その結果、副松果体での光受容タンパク質の発現パターンは松果体とは異なることが明らかになった。 ・副松果体のPP1発現細胞が関わる機能を推定するために、まず、松果体の主な生理機能のひとつであるメラトニン合成・分泌に関わるかどうかを調べた。具体的には、メラトニンの前駆物質であるセロトニンの免疫組織化学的局在を検討した結果、副松果体では、セロトニンの免疫反応は観察されず、メラトニン合成・分泌に関わらない可能性が推測された。また、副松果体の関与が示唆される機能として、発生初期段階における脳の左右非対称形成にも着目し、それらに対するPP1によるUV光受容の影響を調べることを目指した。その準備段階として、副松果体が影響を及ぼすと考えられる脳領域(手綱核)の非対称性を示す組織学的解析に着手した。具体的には、LD条件下で飼育した野生型稚魚を用いて、左手綱核に多く発現するlovの発現パターンをin situ hybridizationで確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回、ゼブラフィッシュの松果体と副松果体では、光受容タンパク質の発現パターンが異なるという結果が得られた。この結果は、副松果体が、単なる松果体の相同器官ではなく、松果体とは別の機能を担う可能性を推測させた。よって、ゼブラフィッシュ副松果体において、PP1発現細胞が担う機能を解析することは、本研究課題である「副松果体に存在するPP1が担う機能の解析」にとどまらず、ゼブラフィッシュ副松果体の光受容が担う役割を明らかにすることに繋がり、非常に重要な知見であると考えられた。そこで、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
ゼブラフィッシュの遊泳行動解析のための光刺激装置の作製を終了したので、次年度以降は、これらの装置を用いて、松果体のPP1が担う生理機能を調べるための行動解析に着手する。 また、副松果体PP1が脳の左右非対称性の形成に関与するのかを調べるために、本年度予備的実験として行ったin situ hybridizationの結果を踏まえて、発生初期段階における飼育光条件をコントロールしたゼブラフィッシュ胚を用いるなど、さらなる解析を行う。 松果体神経性光応答がもたらす生理機能の全容を明らかにするために、明暗検出に関わると考えられるエクソロドプシン発現細胞の神経経路を標識するTgゼブラフィッシュの作製を行う。
|