研究課題
特別研究員奨励費
神経上皮という中枢神経系の起源組織がどう構造的および機能的に成立しているか問うため、「細胞の形態と近隣関係性の両方を考慮しつつ集団としての細胞挙動を問う」、「個別+三次元+全細胞」という新しく包括的なイメージングと組織(細胞集団)動態に関する解析をきわめて精力的に進めてきたが、実はこの問題は難題である.特定の分子を奪い去りその結果を組織単位で評価・判定するという、多くの従前研究がとってきたアプローチだけでは充分ではなく、「個」と「集団」の両方を動的にとらえた上での分析が求められる.これまでに、当初から計画していたライブ観察結果の丹念な定量解析等により、細胞集団の動きの分子機構の一端を明らかにし、さらに、細胞集団の流れが、これまで思いもしなかった力学的作用をもたらしていることもつかみつつある.こうした知見を H28年度に学会発表(分子生物学会,ポスター)を行い、優秀ポスター賞を受賞した.これらの結果に加えて,自らの観察を通じて着想した「力学的要因の関与」を新たに問うべく,具体的には、(1)培養細胞ストレッチ、または吸引装置を用い、培養組織を伸展、伸張させる(2)母体を生存させたまま、マウス胎児の脳や網膜にアガロースゲルを注入し、眼圧や脳室圧等を高くさせることにより組織を伸張させる 等、物理的な力を組織の外側から加える事により、細胞密度や細胞形態を変化させる事に成功している. また、細胞の増殖を制御するYap遺伝子の活性化型を強制発現させる事で未分化性を維持し、細胞密度を変化させた時、同じ動物種でも、異なる組織及び領域により、多彩な相違をある事を明らかにした。この結果を現在、論文投稿中である。また、これまでに得た様々なイメージングの結果及び、力学的な要因群についての実測値を踏まえてシミュレーションを行った結果を、新たにもう一報今年度中に採択を果たす予定である.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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