研究課題
特別研究員奨励費
食肉として利用される家畜・家禽の筋肉は、収縮特性や代謝特性の違いから遅筋タイプ(1 型)、速筋タイプ(2B 型)、その中間の2A, 2X 型に分類される。食肉の肉質や栄養機能性を決定する上で、筋線維タイプ組成は非常に重要な因子であるが、現在まで、肉質を左右する筋線維タイプの様々な特性について、定量的な評価はほとんどされていない。本研究は、各々のタイプの筋線維がどのような構成要素で成り立っているか、またタイプ間で、それらがどの程度異なり、どう相互変換するかを明らかにする事を目的としている。まず、4種類それぞれの筋線維の構成要素について、遺伝子発現を網羅的に解析し(RNA-Seqを利用)、プロファイリングを進めることを目指した。そのために、本年度(10月より半年間)は、4種類の筋線維を迅速に分類する手法を検討した。生細胞(生筋線維)に蛍光標識1次抗体(申請者らが開発)を導入する方法を試みた結果、各タイプごとに生細胞を視覚的に分類することに成功した。しかしながら、染色に一定の時間を要したため、intactな状態を反映した遺伝子発現プロファイリングが可能かどうかは疑問が残った。そこで、スチーム固定により細胞の活動を停止した後、4種類の筋線維を分類する手法の開発を推し進めた。通常行う100℃、5分間の条件下でのスチーム固定では高品質のRNAが抽出できなかったため、よりマイルドな条件(55℃、5分間)で固定を行った。その結果、マイルドな条件下でも、4種類の筋線維の視覚的分類が可能なこと、かつ、高品質のRNAが細胞から抽出できることを確認した。今後、レーザーマイクロダイセクション等を用いて、4種の筋線維を分別して取得し、それぞれのRNAを抽出後、RNA-Seqによるプロファイリングの実現を目指す。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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International Journal of Biochemistry and Cell Biology
巻: 52 ページ: 272-285
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Animal Science Journal
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