研究課題/領域番号 |
15002011
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
化学
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研究機関 | 分子科学研究所 (2004-2005) 岡崎国立共同研究機構 (2003) |
研究代表者 |
中村 宏樹 分子科学研究所, 所長 (10010935)
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研究分担者 |
鈴木 俊法 理化学研究所, 化学動力学, 主任研究員 (10192618)
石田 俊正 京都大学, 福井謙一記念研究センター, 助教授 (50212890)
MIL'NIKOV Gennady (GENNADY Mil'nikov) 分子科学研究所, 理論分子科学研究系, 特別協力研究員 (00370130)
南部 伸孝 九州大学, 情報基盤センター, 助教授 (00249955)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
331,500千円 (直接経費: 255,000千円、間接経費: 76,500千円)
2005年度: 39,000千円 (直接経費: 30,000千円、間接経費: 9,000千円)
2004年度: 81,900千円 (直接経費: 63,000千円、間接経費: 18,900千円)
2003年度: 210,600千円 (直接経費: 162,000千円、間接経費: 48,600千円)
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キーワード | Zhu-Nakamura理論 / 非断熱遷移 / 化学動力学 / レーザー制御 / 分子機能 / 半古典論 / 分子ビーム / 多次元トンネル / 化学反応動力学 / フォトクロミズム |
研究概要 |
古典的に許されない非断熱遷移やトンネル効果を正しく扱い従来の方法を大幅に改良し、しかも、大次元系に適用出来る一般化軌道ホップ法及び半古典論的凍結波束伝播法を開発した。また、これら理論を用いて多次元系に適用可能な半古典論的レーザー制御理論を開発した。レーザー制御については、周波数の2次チャープによる励起の高効率化にも成功している。更に、電子移動に対するMarcus流の理論に旨くZhu-Nakamura公式を導入することに成功し、断熱領域から非断熱領域までの広い結合強度の範囲に亘って働く新理論を開発した。これはモンテカルロ法との合体で大次元系にも適用可能である。対称二重井戸におけるエネルギー分裂、及び、トンネルを介した準安定状態の崩壊過程に適用できる多次元トンネル理論をも開発した。高精度量子化学計算との合体により、現実の多原子分子への応用が可能となった。また、1次元の場合の転回点に対応する火線(コースティックス)を効率良く多次元系で検出する手法を開発し、反応へのトンネル効果の取入れを可能ならしめた。以上の新しく開発した諸理論は各種モデル系のみならず以下の様な具体的な分子系に応用され、実験との一致を含めその有効性が確認された。例えば、OHCl系の反応、N_2Oの光分解、レチナールの異性化、コロニュレン分子の炭素5員環の水素透過、シクロヘキサヂエンとヘキサトリエンの間の光変換(フォトクロミズム)の制御、HCNの光異性化の制御などである。トンネル分裂の理論はマロンアルデヒド、ビニルラジカル、蟻酸二量体などに適用され実験との良い一致を得ている。実験的には、世界最高精度の分子ビーム実験手法の開発に成功している。 以上を纏めると、大次元系化学動力学機構の解明、現実的化学動力学のレーザー制御、分子機能の開発と制御等において、将来の更なる発展への道程を確実なものとしたと言える。
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