研究概要 |
本研究は線虫(Caenorhabditis elegans)の非翻訳RNA分子種を組織的に網羅し,それらの機能解析を通して非翻訳RNA分子が複雑な遺伝子ネットワークの中でどのように他の因子と関わりあって発生,行動,老化といった生命現象に関与しているか理解することを目的とする。平成15年度は、これまでに確立した50nt以下の低分子RNAを再現性よく分離する二次元電気泳動法を用いて泳動像を比較することにより、線虫の発生過程で特徴的な発現パターンを示す非翻訳RNA種を同定することを中心に実験を進めた。この結果、50nt以下のRNA画分について,卵から調製したものとmixed stageの虫から調製したものとでは異なる電気泳動像を示すことを明らかにし,それぞれのRNAスポットを,卵特異的に検出されるもの,mixed stage特異的に検出されるもの,両者に共通に検出されるものに分類した。また,これらのRNA種の配列決定を行う方法を確立し,いくつかについて解析を行った。この他,これまでに単離した新規非翻訳RNA種候補のうち,タンパク質遺伝子のイントロンをコードする部分に遺伝子が存在するもの8種類(CeR-3,4,5,6,7,8,9,19RNA)について,発現の確認や末端配列の決定を行い,論文にまとめた(印刷中)。
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