研究課題
特定領域研究
ショウジョウバエでは、GAL4-UAS遺伝子強制発現法を応用してcDNA断片の逆方向反復配列を発現誘導することによりRNAiを組織・発生時期特異的に誘導することができる。この技術を開発し、ショウジョウバエタンパク質遺伝、全14,000個に対してUAS-逆方向反復配列ベクターを作成、ハエ個体に導入することにより全遺伝子のloss-of unction変異体を作成することが本研究の目指したところである。ベクターの構造や大量作成、形質転換などの技術的開発を経て、現在、8,300遺伝子に対するRNAiハエ系統を14,000系統まで樹立し、なお継続中である。これらのハエが実際に効果を発揮するかどうか、国内外の研究者と共同で遺伝子機能解析をおこなった。細胞増調節、アポトーシス、細胞や組織の形態形成、先天性免疫、心臓/気管/消化管形成、神経発生、記憶・学習、サーカディアンリズム、ポリグルタミン病、アルツハイマー病、糖鎖機能研究など、共同研究先は100箇所まで拡大している。これまで原著論文20報の成果が得られている。共同研究の情報を総合すると、胚発生期においては母性産物に阻害されるためかRNAi効果が弱いケースが散見さる。また神経系でもnull変異をもちいたモザイク解析に比較すると表現型の弱いケースが見られた。しかしながら成虫における遺伝子機能解析の場では期待通りの効果を発揮した。GAL4発現系統と交配するだけという簡便さもあり、多くの遺伝子のスクリーンが容易であり、興味深い表現型の発見が可能であった。これらの系統は06年の夏を目処に国立遺伝学研究所系統生物センターより一般に公開する。多くのゲノム研究に資することが期待される。
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