研究課題/領域番号 |
15013222
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小保方 潤一 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (50185667)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
2003年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | 光合成遺伝子 / 葉緑体ゲノム / DNA転移 / プロモーター / プロモーター新生 / 進化 / TATAボックス |
研究概要 |
植物の核遺伝子の多くはコアプロモーターの成分としてTATAボックネをもつっいるが、光合成遺伝子群にはTATAボックスがあまりみられない。光合成核遺伝子の大部分は、もともと葉緑体ゲノムにコードされていたものが進化の過程で核ゲノムに転移し、そこで新たに真核型のプロモーターを獲得したものである。本研究では、光合成遺伝子群が特有なコアプロモーター構成をもつ理由を、その起源と役割の二つの側面から検討する。本年度は、(1)葉緑体ゲノムから核への光合成遺伝子の転移機構、(2)核ゲノム中でのプロモーター獲得過程、の2点を中心に研究を進めた。主な成果は以下のとおりである。 (1)イネのゲノム塩基配列がほぼ解明されたので、その情報を利用して、核ゲノム中に含まれている葉緑体ゲノムに相同なDNA断片を網羅的に解析した。その結果、(a)葉緑体ゲノムは核ゲノムに頻繁に取り込まれ、(b)核ゲノム中で急速に断片化されるとともに激しくシャフリングされ、さらに(c)数十万年の半減期で「急速に」核から排出されている事が強く示唆された。これらの新知見は、核とオルガネラのゲノムはそれぞれ孤立した存在ではなく、それらの間には定常的なDNAの流れ(フラックス)があることを示している。 (2)核に転入した葉緑体遺伝子が核ゲノム中で新規のプロモーターを獲得する確率はどのくらいあるのだろうか?この疑問を解くため、プロモーターを持たない構造遺伝子をシロイヌナズナの核ゲノムにランダム挿入し、プロモーター獲得がどのような頻度で生じるかを網羅的に解析した。その結果、染色体DNA上では極めて高い頻度で「プロモーター新生(=全く転写単位がなかったところに突然プロモーターが出現すること)」が生じることを見いだした。このような新生プロモーターはTATAボックスやイニシエーターなどのコアプロモーター因子をランダムに含むことがわかった。
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