研究概要 |
本研究では、Mesorhizobium loti MAFF303099株ゲノムの情報を基盤に、ミヤコグサLotus japonicus根粒由来の菌株(国内単離6株)と西洋ミヤコグサLotus corniculatusなどミヤコグサ近縁種の根粒由来の菌株(M.loti標準株NZP2213株やR7A株などニュージーランドと北米単離の9株)更に,広宿主域菌Rhjzobium spp.NGR234株やミヤコグサと不完全な共生を行うRhizobium etli CE3株について、ゲノムの多様性・可塑性と宿主特異性を解析することにより、非根粒菌から根粒菌への変換に必要な因子及び宿主域を決定する因子の解明を目指している。(1)ゲノム構造の粗比較:16S rRNA配列およびnodJ-nodS領域の塩基配列に基づき系統解析を行った。(2)共生アイランド内の分泌系遺伝子の相違:MAFF303099とR7Aの2つの共生アイランドは、前者がTypeIII蛋白質分泌系遺伝子群を持つのに対し、後者はTypeIV蛋白質分泌系群を持つ点で著しく異なる。PCRとSouthern解析により、国内株はいずれもTypeIII、ニュージーランドや北米の株はTypeIV遺伝子群を持つと見積もられた。(3)生育条件・宿主域の比較:国内株は、ほぼ同一の抗菌剤感受性スペクトル示し,ミヤコグサ以外にも西洋ミヤコグサと有効な共生を行うが,Lotus pedunculatusには根粒を形成するが共生不能であった。以上の結果は,16S rRNA配列よりは,共生アイランド内の局所構造に基づく分類か,宿主域とよく相関していることを示した。(4)共生アイランド水平移動のモデル系構築準備:リコンビナーゼを用いてゲノム改変を行うため、広域宿主ベクターpBBR1MCS2のrep遺伝子にError-Prone PCRを行い、温度感受性を示す派生物1クローンを得た。
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