研究概要 |
分岐鎖アミノ酸代謝系のうち、ロイシン生合成に関わる4種の蛋白質遺伝子(leuA、leuB、leuC、leuD)とその相同蛋白質遺伝子(TCA回路、リジン生合成に関わる蛋白質遺伝子と、BLAST検索等で見出された機能未知蛋白質遺伝子)について、それぞれ最尤法と近隣結合法による分子系統解析を行った。既に機能解析がなされている蛋白質を系統樹上にマッピングし、系統樹の樹形と機能から、各蛋白質を改めてグルーピングした。 いずれの系統樹でも、古細菌(殊にメタン菌)が、ロイシン合成系酵素とTCA回路の酵素との境界領域に位置する場合が多いことが観察された。また、真正細菌や真核生物に比べて、古細菌由来の蛋白質遺伝子のhomolog間の一次配列の差違が小さい傾向にあり、その機能分化の程度については検討の余地があると考えられた。 機能未知蛋白質のみで構成されている蛋白質グループに属する蛋白質と、機能の異なる蛋白質グループ同士の境界に系統樹上位置する蛋白質について、好熱性の古細菌(Sulfolobus tokodaii、Aeropyrum pernix、Pyrococcus horikoshii)からの遺伝子の取得と、その大腸菌中での発現を試みた。 発現を試みた蛋白質の過半数が、不溶性の封入体を作るか、発現しなかった。すなわち、ランダムに古細菌の蛋白質を選び、それらの発現効率を検討すると、2〜3割程度の蛋白質が発現し、可溶性画分に来るという結果であった。現在、封入体となっている蛋白質の可溶化など、蛋白質の発現・精製法について、再検討中である。宿主細胞として、大腸菌の他、分裂酵母などについても検討している。また、メタン産生好熱性古細菌Methanocaldococcus jannaschiiについて、同様にleuA,B,C,D蛋白質とそのhomolog蛋白質の発現を試みている。
|