研究概要 |
研究目的:ヒト低分子量GTP結合蛋白質特にRasファミリー分子のGDP/GTP交換因子(GEF)の全てを明らかにし、線虫から哺乳類にいたる進化の過程での高次機能の獲得とゲノムの進化とを系統的に解析する。 Ras ファミリー分子は細胞外情報を細胞内情報に変換する重要な蛋白質であり、細胞内情報伝達系を知る上ではこの分子群の機能解析をなくして研究遂行には至らない。我々のこれまでの実績からRas分子の活性化を可視化することでGEFの活性化部位を明らかにして、個体レベルでの機能解析を行なうことにより他分野への蛋白質機能解析の新手法を提供できる。 15年度研究成果:14年度にはRasの活性化を可視化するプローブRaichu-Ras(Ras and an interacting chimeirc unit-Ras)を開発し、細胞内でのRas活性化部位を時間的・空間的に明らかにできた。このRaichuはGEF,GAPの機能を直接みることが可能であり、GEF活性GAP活性をFFRET(Fluorescent Resonance Energy Transfer)の増減で調べることが可能となった。これまで、アイソトープを使って、GEF,GAP活性を調べるのが常であったが、本プローブの開発により脱アイソトープ実験によりGEF,GAPを決定できた。 (1)Racの活性化可視化プローブRaichu-Racを作製して、ゲノムデータ上の新規GEFを調べた (2)Rhoの活性化可視化プローブRaichu-Rhoを作製した。DblホモロジードメインとPH(プレクストリンホモロジー)を有する分子をデータベースから取り出しその発現ベクターを構築して、同プローブと強制発現によりRhoへのGEF活性を検討した。KIAA0062,KIAA0380がRhoGEFであることをFRETで明らかにした。 (3)さらにこのプローブがGAPに対しても反応しFRETを減弱させることをKIAA0053,p50RhoGAPを用いることで明らかにした。
|