研究概要 |
本研究の目的は生命機能情報解析にVR技術を適応することである.このための目標として,「遺伝子の発現量情報,塩基配列・オントロジー・染色体上での位置情報・相互作用情報等を統合しVR環境内で可視化するための研究」と,「効果的な解析のためにVR環境内で可視化した情報とのインタラクション及び可触化の研究」を大きな2本柱とした.前者について,以下の(1),(2)を,後者について以下の(3),(4)の研究を実施した. (1)ゲノムネットワークの可視化手法の研究 文献情報などから取得した遺伝子やタンパク質間の関係や,細胞内パスウェイなどのネットワーク情報を,ネットワーク自体の性質を用いて空間内に簡略化表現し見やすくするなどの可視化手法の研究を行った. (2)生命機能情報を統合する手法の研究 発現量情報を基準として,染色体上の位置,機能,臨床情報などを可視化に併せて統合する手法を検討している.主成分分析などを利用してサンプルグループに意味付けを行うアルゴリズムなどを開発した. (3)人間の認知特性を考慮した動きや空間を利用した可視化手法の検討 可視化された要素のまとまりや異なるものを発見するために,動きを利用した可視化手法を検討した.また発現量情報全体を可視化しようとした際に必要とされる空間の大きさなどの検討を行った. (4)VRを利用した遺伝子機能情報解析作業空間構築指針の研究 インタラクティブな発現量解析を行うための解析作業空間構築指針として,情報配置にLab BenchメタファおよびRoadメタファを利用することを提案した.この指針に基づいてシステムを構築することにより効果的な情報提示が可能になることを確認した. 現在,上記の知見を統合した環境としてVEGAS(Virtual Environment for Genome Analysis and Simulation) を開発している.
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