研究課題/領域番号 |
15016030
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
郭 伸 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40160981)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
2003年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
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キーワード | グルタミン酸受容体 / 筋萎縮性側索硬化症 / 脊髄運動ニューロン / RNA編集 / GluR2 / AMPA受容体 / 神経伝達物質 / 神経細胞死 |
研究概要 |
ALSの脊髄前角ではグルタミン酸受容体サブタイプであるAMPA受容体のサブユニットGluR2 mRNAはQ/R部位が未編集のものが増加している。この分子変化はAMPA受容体のCa^<2+>透過性を亢進させ、動物脳で遅発性の脊髄運動ニューロン死を含む神経細胞死を引き起こす一次原因であることが知られており、かつALS以外の神経疾患にはみられない疾患特異的な変化であることから、本疾患の神経細胞死に直接関わっている可能性が高い。本研究では、ALSの運動ニューロシにおけるGluR2 Q/R部位の編集率が低下しているかどうかを明らかにするために、ALSの脊髄運動ニューロン以外のニューロン、ALS以外の神経変性疾患の変性ニューロンを含め正常対照ニューロンと比較し、疾患特異性、部位特異性の有無を検討することを目的とした。凍結保存ALS、正常対照、疾患対照として歯状核赤核ルイ体萎縮症(DRPLA)、多系統萎縮症(MSA)のヒト剖検脳組織より、脊髄運動ニューロン、プルキンエ細胞をレーザーミクロディセクターを用いて切り出し、GluR2の逆転写ポリメラーゼ鎖反応(RT-PCR)を行った。得られたPCR産物をQ/R部位を認識する制限酵素Bbv-1で処理し、その消化断片を定量解析し、RNA編集を受けた割合(編集率)を算出した。GluR2 Q/R部位の編集率は、ALS脊髄運動ニューロンでは、0-100%にばらついており、5例の平均値は、38-76%であったのに対し、5例の正常対照から得た運動ニューロシ76細胞全てで100%に保たれていた。プルキンエ細胞での検討では、正常対照、DRPLA、MSA、ALSとも98%以上に保たれていた。ALSの脊髄運動ニューロンにおけるRNA編集異常は、疾患特異的、部位選択的に生じていると考えられ、ALS病因に深く関わった分子変化である可能性が高く、治療戦略の標的になりうる。
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