研究課題/領域番号 |
15016056
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
林 基治 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (10027500)
|
研究期間 (年度) |
2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2003年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
|
キーワード | 霊長類 / マカクサル / 大脳皮質 / 小脳 / 発達 / BDNF / NT-3 / TrkB |
研究概要 |
1.マカクサルの一次体性感覚野、一次運動野、前頭連合野、頭頂連合野、側頭連合野および海馬におけるニューロトロフィン-3(NT-3)の発達を酵素免疫測定法で調べた。その結果、一次体性感覚野、一次運動野においてはNT-3量のピークは新生児期にあり、その後成熟期まで順次減少した。一方、連合野においては、NT-3は生後3週目にピークを示し、その後減少した。また海馬では生後1週目まで多く、生後3週目で減少し、その後成熟期まで変量しなかった。以上の結果より、NT-3は、胎生期から生後初期に霊長類大脳皮質や海馬の発育に重要であること、またNT-3の発達は、感覚野や運動野が連合野より先んじることが明らかとなった。 2.大脳皮質と共に霊長類の運動機能に重要な小脳における脳由来神経栄養因子(BDNF)とその受容体TrkBの分布を、免疫組織化学法を用いて調べた。その結果、成熟期のマカクサル小脳におけるBDNFは、ほとんどの顆粒細胞とプルキンエ細胞に観察された。一方TrkBにはチロシンキナーゼをもつTK+ともたないTK-が存在するが、プルキンエ細胞における両者の分布を調べたところ、TK+>TK-、TK+=TK-、TK+<TK-の領域が存在した。BDNFを小脳へ作用させTrkB分子間のダイマーを形成させたところ、TK+/TK+のホモダイマー、TK+/TK-のヘテロダイマー、TK-/TK-のホモダイマーが形成された。以上の結果から成熟期のプルキンエ細胞へのBDNFの作用は、プルキンエ細胞内のTK+とTK-の存在比によってそれぞれ異なることが予想された。 3.マカクサル小脳におけるBDNF、TK+、TK-の発達過程を調べたところ、3種の脳内機能分子の小脳内分布は生後3.5ヶ月で成熟期とほぼ同じとなっていた。さらにこの時期にBDNFによるTrkBのダイマー形成も成熟期と同じであった。したがって、マカクサルの小脳は、生後3.5ヶ月において成熟期と同程度に完成されていることが示唆された。
|