研究概要 |
相模原地区におけるパーキンソニズム家系(相模原家系)は常染色体優性遺伝形式をとり,発症年齢や臨床経過等は通常の孤発性パーキンソン病とほぼ同一である.これまでに(1)他の家族性パーキンソニズムの原因遺伝子であるα-synuclein, parkin, tau, UCH-Llについて,相模原家系患者には変異および連鎖がないこと,(2)Microsatelliteをもちいたゲノムワイド連鎖解析から,相模原家系の原因遺伝子座が12p11.2-q13.1の約13cMの範囲に存在することを報告し,PARK8として登録した.本研究ではPARK8の遣伝子本体を同定すべく,候補領域にマップされている遺伝子を網羅的に解析し,疾患特異的遺伝子変異を探索した.また同時に,候補領域を絞り込むため,PARK8に連鎖する新たなパーキンソニズム家系の探索を行った. 1.PARK8の遺伝子本体の探索:候補領域に存在する75遺伝子(720exons)についてPCR-direct sequencingを行い,46遺伝子(740exons)が終了した.GenBankの情報と異なる配列については,発症との関連を比較検討中である. 2.PARK8に連鎖する家系の探索:相模原家系患者に特異的なgenotypeであるD12S345のallele230は,正常対照群のfrequencyが非常に低く,自験家系と連鎖している.よって,D12S345を探索ツールとして,パーキンソン病患者80名のDNAをもちいてgenotypingを行った結果,1名の患者からallele230を検出した.この患者についてPARK8に存在する他のmicrosatelliteについてgenotypingを行った結果,相模原家系患者のhaplotypeと共通した部分が存在し,かつ組換えが想定され,候補領域を10cMめ範囲まで狭めることができた.
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