研究課題/領域番号 |
15016126
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
長谷川 成人 (財)東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (10251232)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
2003年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
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キーワード | タウ / リン酸化 / 細胞死 / 線維 / タンパク質 / ピック病 / 皮質基底核変性症(CBD) / 進行性核上性麻痺(PSP) |
研究概要 |
アルツハイマー病や、ピック病(PiD)、皮質基底核変性症(CBD)、進行性核上性麻痺(PSP)など、多くの変性疾患では変性部位に異常リン酸化タウの蓄積を認める。タウの異常蓄積は、死にゆく細胞の変化を反映したものと考えられ、病気の発症、細胞死の機構を明らかにする上で重要と考えられる。今年度は、in vitroのタウの線維形成モデルを使ってその線維のプロテアーゼ耐性中心領域の解析を行うと共に、タウオパチー剖検脳に蓄積するタウの生化学的解析を行った。 3リピート(3R)タウ、4リピート(4R)タウ、3R+4Rタウを用いて線維を作製した後、トリプシン消化し、電気泳動を行ったところ、3Rタウ線維からは約4kD、4Rタウ線維からは約8kD、3R+4Rタウ線維からはその両方が検出された。これらのN末端のアミノ酸配列解析を行ったところ、3R+4Rタウ線維のバンドからは、AD脳のPHF解析で同定されたものと同じ268、299番目のアミノ酸からはじまる微小管結合領域の配列が検出されたのに対し、3Rタウ、あるいは4Rタウ単独で作製した線維からはこれよりもN末端側の配列が検出された。以上のことから線維を構成するタウのアイソフォームの種類によりそのプロテアーゼ抵抗性の中心領域が異なることが示された。次に患者剖検脳のタウ線維についても同じことが観察されるかについて検討を行った。3Rタウと4Rタウの両方が蓄積するAD、主に3Rタウ線維の蓄積を認めるPiD、4Rタウの蓄積を認めるCBD、PSPの剖検脳から不溶性タウを調製し、トリプシン消化し電気泳動したところ、疾患によって異なる移動度のトリプシン耐性のタウのバンドが検出された。これらの結果から、蓄積するタウの分子種の違いにより線維の構造、プロテアーゼに対する抵抗性が異なり、患者剖検脳の病理や髄液中のタウに反映される可能性が示唆された。
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