研究概要 |
本研究では,より一般的な秘密分散法(SSS)を構成する手法を与えると共に,その理論的評価を行っている.本年度は下記のような成果を得た. (A)一般アクセス構造を(k,n)しきい値SSSを用いて実現する複数割当写像(multiple assignment mapping)に対して,最適な複数割当写像を整数計画を用いて構成する新たな方式を提案した.提案方式は,完全なアクセス構造だけでなく,ランプ型のアクセス構造やアクセス構造が一部未定である不完備なアクセス構造に対しても適用することができ,従来の割当法に比べてかなり効率'のよいSSSを実現できる. (B)線形演算を用いた関数秘密分散法(SFSS)の構成法の提案,その理論的性能評価SFSSのl-out-of-l紛失通信への応用に関する研究成果を国際シンポジウム(IEEE-ISIT2003)で発表した. (C)白黒・カラー・濃淡画像などからなる複数の秘密画像を一度に符号化できる視覚復号型秘密分散法(VSSS)の一般的な構成法に関する研究成果を,学術論文誌(IEICE)および国際シンポジウム(IEEE-ISIT2003)で発表した. (D)(k,n)しきい値量子秘密分散法(QSSS)に対する符号化効率の評価を,Holeve相互情報量を用いて行った.これは,Nascimentらがコヒーレント情報量および参照系を用いて行った評価の別証明を与えたものである.さらに,(k,L,n)しきい値ランプ型QSSSを定義し,その符号化効率を評価すると共に,それが(k,n)しきい値QSSSよりもL倍効率がよくなることを証明した.
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