研究課題/領域番号 |
15017238
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
竹田 陽子 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 助教授 (80319011)
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研究分担者 |
國領 二郎 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (00255580)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
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キーワード | 情報開示 / 情報技術の導入 / ビジネスモデル / トレーサビリティ / 医療情報化 / オープンソース・ソフトウェア / 技術と組織の相互適応 / 技術の可変性 |
研究概要 |
本研究は、1)どのような場合/どのような企業が自社の情報を開示するのか、2)企業が情報を開示する促進要因と阻害要因は何なのか、3)コラボレーションや取引にはどのような情報の開示が必要なのか、4)情報開示と企業の利益が矛盾しないビジネスの構造とはどのようなものなのか、ひいては5)情報開示が経済システムにどのような質的変化をもたらすのか、という問題設定について何らかの答えを与える概念フレームワーク構築を目的としている。 本年度の研究の成果は、第一に、情報技術導入における情報技術の供給者とユーザーの間における情報開示の方法について、情報システムベンダー側の調査結果(回収数:情報システム一般480、特定分野の情報システム18票)の分析と顧客企業側の調査(回収数689)を実施した。その結果、パッケージ・ソフトウェアなどの既存の技術を組み合わせて導入するタイプのプロジェクトと、既存の技術をカスタマイズするプロジェクト、新規に開発するプロジェクトでは、コミュニケーショシのパターンと導入に伴うユーザー企業組織の変化の仕方が著しく異なることが明らかになった。カスタマイゼーションをおこなわずに既存技術を導入するプロジェクトは、導入に伴う組織の変化が他のタイプのプロジェクトに比べて大きいのに関わらず、コミュニケーションの量と多様性が乏しいというねじれ現象が起こっていた。 第二に、情報開示をビジネス・モデルに組み込んだ次の3事例の研究をおこなった。1)石井食品:食品会社が自社製品の安全性に関する情報を産地や原材料メーカーまで遡って追跡できるシステムを構築した事例をとりあげ、情報開示によって信頼を形成する企業戦略とその成立要件について検討した。2)OSASK:昨年度に引き続き、ソースコードを公開して、その再配布や改変を自由に許可するオープン・ソース・ソフトウェアの事例をとりあげ、オープン・ネットワーク上で情報を開示した上でのコラボレーションを可能にする条件についての分析をおこなった。3)国立京都病院と伏見医療ネットワーク:カルテという医療の中核になる情報がデジタル化され、ネットワーク上で流通することによって、医療サービスの効率化を超え、情報の非対称が解消されることによる当事者の力関係や業界構造の変化をひきおこす可能性を指摘した。
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