研究概要 |
(1)物体把持前の把持点選択時における視覚情報処理過程の解明 2)で設計した仮想環境内で任意形状の物体の把持の模擬が可能な多指遭遇型ハプティックデバイスによって各指先に適切に局所平面パッチを遭遇させるための動作計画の基本方針を立てた.中沢らが示した把持動作における手首や指先の速度プロファイルを基に,動作計画を,(i)把持物体決定フェーズ(手首速度最大時),(ii)把持面決定フェーズ(プリシェイピング時),(iii)把持点決定フェーズ(手首速度収束時)の3つのフェーズに分けることとした.中沢らの示したプロファイルは,2次元平面内での物体把持動作を対象としただけであったので,一般的な3次元空間での3本指把持動作においても同様の速度プロファィルとなることを実際に確かめた. (2)物体持ち上げ時の把持力決定のための触覚情報処理過程の解明 任意形状の物体の把持・持ち上げ動作の模擬が可能な多指遭遇型ハプティックデバイスの機構設計に先立って,人間が実際に物体を把持する際の把持様式(接触点位置と接触点での接触法線ベクトル)を身の回りの50品目で計測し,その結果を基に設計を行った.また把持物体模擬デバイスと物体を把持するロボットハンドとは,接触面を介して双対の関係にあることから,設計した機構が把持機構としても応用できる可能性があることが分かった. (3)物体操り時の視触覚の情報処理過程の解明 現在の遠隔操作プラットフォームのスレーブ側に備わっている視覚システムは,パン・チルトの2自由度のみを有する機構であり,自由度が不足していた.そこでまずスレーブ側のカメラと同様に視野を制限した被験者に机上作業を行わせ,頭部が作業中にどれだけ運動するかを計測した.この結果,前後左右の並進2自由度をさらに追加すべきことが分かり,自由度を付加したカメラシステムを設計・製作した.次いで,視覚システムの自由度が遠隔操作の作業性に及ぼす影響について実験的に調べ,自由度を付加したことで作業時間が短くなることが分かった.
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