研究概要 |
本研究では,日常生活のおける人間の行動(「いつ,だれが,どこで,何をしたか」)を非接触で観察できる人間行動観察システムの構築を主目的とする.以下に平成15年度の実施内容を示す. ・実時間人物情報計測システムの構築 複数人物の移動軌跡や姿勢,全身特徴(体型,服装の色分布),頭部特徴(頭部方向,顔画像)などのすべての特徴量を抽出し,ハードディスクに記録できる,実時間人物情報計測システムを構築した.本研究課題のゴールである,小店舗での利用を考慮し,同システムでは,背景更新機能,ドアの開閉や窓からの太陽光の影響が起こり得る画像領域を予め登録できる機能など,実評価のための機能を用意した. ・店舗内での行動観察システムの構築 我々が構築してきた実時間人物情報計測手法を用い,コンビニエンス・ストアなどの店舗内における顧客の行動解析システムを構築した.提案システムは,店舗内に設置した全方位視覚センサによって得た映像から顧客の位置や移動速度を推定し,それらの情報をもとに"店内をどのように移動したか","どの商品に興味を示したか"といった顧客の活動状況を時間と場所を対応付けて監視者に提示するものである.試作システムを実際の店舗で撮影した映像に適用した結果,顧客全体の店内における分布,各顧客の移動軌跡および停留状況などをユーザに提示可能であることを確認した.次年度以降は,店舗のレイアウト変更や売れ筋商品の把握などを通して,人物行動パターンの解析を行う予定である. ・時空間歩行画像の表現モデルの検討 遠方から近傍の歩行者まで見え方の異なる歩行画像を表現する手法として,GaitVolumeというモデルを提案し,個人識別ならびに動作の違いなどによりGaitVolumeの特徴に変化が現れることが確認できた.次年度はこのモデルを実際の歩行者認識に適応する予定である.
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