研究課題/領域番号 |
15019030
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
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研究分担者 |
八木田 秀雄 順天堂大学, 医学部, 助教授 (30182306)
中村 哲也 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70265809)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
2003年度: 6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
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キーワード | IL-7 / IL-7レセプター / 腸管免疫 / 粘膜リンパ球 / 腸管上皮細胞 / 転写因子 / 慢性大腸炎 / 再生医療 |
研究概要 |
本研究は炎症性腸疾患の発症・慢性化機序解明のため、既存の研究とは全く視点を変え、研究代表者が独自に見いだした粘膜局所におけるIL-7を介した新しい免疫調節機構、活性化IL-7レセプター陽性腸管粘膜内リンパ球による炎症惹起機構の考え方に加え、腸管粘膜再生の概念を導入することにより、腸管局所免疫機構の特殊性を利用した新しい治療法の開発を目指す目的で行われた。本年度の研究では腸管上皮細胞によるIL-7産生機構の詳細な解析を行った。その結果、1)ヒト腸管上皮(IEC)細胞株の解析により、IL-7産生が転写レベルで制御されることを見いだした。2)IL-7産生には遺伝子上流のIRF-E(Interferon Regulatory Factor-Element)を介する調節が重要であり、転写因子IRF-1/IRF-2がその結合蛋白であった。3)Tet-On強制発現とsiRNAノックダウン解析から、IRF-1/IRF-2の両者がIL-7産生を正に制御すると同時に、IRF-2は構成的、一方IRF-1は刺激依存性のIL-7誘導因子であることが明確になった。4)ヒト大腸組織に特徴的な分布様式でIRF-1/IRF-2が発現することより、ここに示したIL-7産生機構が生体においても重要であることが示された。以上の成果は、ヒトにおけるIL-7分泌の調節機構を初めて示す知見であると同時に、IRF-1/IRF-2の新しい協調機構を提示するものでもある。また、IRF蛋白機能を人為的に制御することにより腸管上皮によるIL-7産生を調節しうる可能性が示され、慢性大腸炎の新規治療法開発の基盤となる可能性が示された。来年度以降、現在解析しつつある腸管上皮の分化を制御する機構を担う分子に対するターゲット療法を開発することは今後、創薬に発展すると考えられる。
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