研究課題/領域番号 |
15019052
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松浦 善治 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (50157252)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
2003年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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キーワード | HCV / 感染機構 / リセプター / シュードタイプウイルス / 細胞融合 |
研究概要 |
細胞培養系のないC型肝炎ウイルス(HCV)の感染の初期過程を解析し、以下の成績を得た。 1)HCVシュードタイプウイルスを用いた成績から、ヒト肝癌由来のHepG2細胞にHCVの感染を許容する蛋白性因子が存在することが推測された。シュードタイプウイルスの吸着はヘパリンによって阻害されたが、逆に感染は増強された。このことはシュードタイプウイルスの吸着には硫酸多糖類が重要であるため、ヘパリン添加によって結合阻害が観察されるが、それ以降の膜融合や侵入過程でエンベロープ蛋白質の活性発現をヘパリンが増強している可能性が示唆された。各種動物血清のシュードタイプウイルスの感染における影響を調べたところ、ヒト血清がシュードタイプウイルスの感染性を特異的に増強することが示された。 2)HCV蛋白質が自然免疫系の担当細胞に作用して獲得免疫系の発動を阻害し、持続感染を成立させている可能性が指摘されている。シュードタイプウイルスをマウスのマクロファージ細胞に接種すると炎症性サイトカインの産生が誘導されたが、その反応性はE1とE2エンベロープ蛋白質を持ったシュードタイプウイルスによって異なっていた。さらに、Toll Like Receptor(TLR)のアダプター分子であるMyD88の欠損マウスを用いた成績も、シュードタイプウイルス間で相違が認められたことから、HCVの二つのエンベロープ蛋白質による自然免疫誘導機構が異なる可能性が示唆された。 3)HCV粒子の成熟機構の解明は、HCVの感染様式を調べるうえで極めて重要な情報を提供する。これまでに、HCVの二つのエンベロープ蛋白質は1回小胞体膜を貫通するI型糖蛋白質のモデルが提唱されていろが、E1蛋白質は2回膜を貫通するトポロジーがコンピューター解析から示唆される。そこで、糖鎖付加部位を欠損あるいは新たに導入した変異E1蛋白質を作製し、糖鎖修飾の有無を指標にしてそのトポロジーを解析した。その結果、E1蛋白質はこれまで考えられていたI型糖蛋白質よりも、小胞体膜を2回貫通しで比較的大きな細胞質領域を保持したトポロジーを取る可能性が示唆された。さらに、この細胞質領域とコア蛋白質が特異的に結合することが示された。
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