研究概要 |
我々は、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)の免疫回避に関与するMIR1,2分子を見い出し、さらに、本領域による研究費にて、興味ある構造的機能的類似分子群(c-MIR, HSPC240ファミリー)を哺乳類ゲノムに見い出した(JBC 2003)。c-MIRは、ウイルスMIR2と同様にB7-2を抑制する事ができるが、さらにMHC class IIをも抑制する。KSHV MIR1,2と現在までに見い出した類似分子群は、すべて同様の二次構造を持っており、E3ユビキチンリガーゼ活性をもつBKS-PHD domainを同じ部位に持っており、抗原提示関連分子を抑制する事が明らかとなった。よって、ウイルスMIR1,2と哺乳類の類似分子群を総括し、免疫抑制性E3ユビチンリガーゼファミリーと名付け研究を行っている。c-MIRが免疫制御を可能とする分子であるか否かを検討する目的にて、c-MIR過剰発現細胞を用いて抗原提示機能を検討した結果、OVAおよびそのペプチドに対する抗原提示機能は顕著に抑制されていた。さらにc-MIRを過剰に発現する遺伝子改変マウスを作成した所、B細胞にてMHC class IIの顕著な発現抑制が認められた。現在、このマウスの詳細な解析を行っており、c-MIRの人為的免疫制御への応用の可能性を検討している所である。さらに、c-MIRの生理機能を探索する目的にて、c-MIR mRNAの発現レベルを検討した。興味あることに、胸腺にてはほとんど発現を認めなかったが、ヒト、マウス未熟樹状細胞に有意にc-MIR mRNAを検出した。この発現はLPSによる刺激によって発現は抑制された。これらの事からc-MIRは抗原提示亢進によって発現が抑制される可能性が明らかとなった。さらにc-MIRのknock out mouseを作成し検討している。
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