研究概要 |
1)P.gingivalisの血小板凝集活性について各種の変異株を用いた解析からrgpA,kgp,hagA遺伝子にコードされているadhesin domainタンパクがプロテアーゼによってプロセスされた形で菌体表面に発現していることが必須であることが示唆された。このadhesin domainタンパクを介した血小板活性化には血漿成分を必要とすること、血小板表面のGPIbレセプターが活性化に関与することがわかった。また、従来、本菌のRgpプロテアーゼがPARレセプターを介して血小板を活性化するといわれているが血漿成分が存在する環境ではほとんどRgpプロテアーゼによる活性化がみられないことがわかった。 2)BCG菌をosteoblastic cellに感染させるとTNFaレセプターファミリーの一つである4-1BBの発現が亢進することを見いだした。この発現亢進は大腸菌、ネズミチフス菌、黄色ブドウ球菌の感染および大腸菌由来LPSや熱処理死菌BCG菌でも生じることがわかった。4-1BBのリガンド分子は骨髄細胞、マクロファージ様株化細胞に発現していることから4-1BBの破骨細胞分化への影響を骨髄細胞を用いて解析した。その結果、固層化した4-1BBは1ng/mlという低濃度でもRANKL/M-CSF誘導破骨細胞分化を抑制することがわかった。さらにRANKL/M-CSFによるI-kB,ERK1/2,p38,JNKのリン酸化には4-1BB処理は影響しなかったがAKTのリン酸化は4-1BB処理により抑制されることがわかった(Saito et al.,J.Biol.Chem.,in press)。 3)全骨髄細胞を用いたM-CSF/RANKL誘導性破骨細胞分化システムにおいてはIL-12はアポトーシスは起こさないが破骨細胞分化を抑制することがわかった。この抑制作用は破骨細胞前駆細胞に直接IL-12が作用するのではなく、IL-12の働きで他の骨髄細胞から液性因子を放出させることにより起こることがわかり、この液性因子の有力な因子がIFN-gであることが抗IFN-g抗体やIFN-g receptor knockout mouse実験から示唆された。また、IFN-gの産生細胞は非T細胞系である可能性が示唆された(Nagata et al.,Bone,2003;33:712-32)。
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