研究課題/領域番号 |
15019092
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
森 直樹 琉球大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10220013)
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研究分担者 |
只野 昌之 琉球大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (80179712)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | デングウイルス / TRAIL / NF-κB / SP1 / アポトーシス / 肝細胞 |
研究概要 |
【目的と意義】デング出血熱では肝障害の合併が見られ、肝細胞やクッパー細胞にウイルス抗原の発現やアポトーシス像が認められる。デングウイルス感染による肝細胞アポトーシス誘導の分子機構を明らかにするため、肝細胞株HepG2にデング2型ウイルス(NGC株)を感染させ、解析を行なった。 【結果】HepG2細胞にNGC株を感染させると、細胞生存率は低下し、アポトーシスが誘導された。アポトーシス関連タンパク質の発現をウェスタンブロットにて検討したが、感染後Bcl-x_L、Bcl-2、Bax、IAP-2の発現に変化は認められなかった。次に、TNFファミリーであるTNF-α、TRAIL、FasLの発現をRT-PCRにて検討したところ、TNF-αとTRAIL mRNAの発現誘導を認めた。TNF-αやFas刺激によりHepG2細胞の生存率の低下は認めなかったが、TRAIL刺激はアポトーシスを誘導した。一方、HepG2細胞はこれらリガンドに対するいずれのレセプターも発現していた。TRAILの発現誘導はウェスタンブロットでも確認され、デングウイルス感染後のHepG2細胞の培養上清をTRAIL感受性Jurkat細胞に添加すると、細胞生存率が低下した。さらに、TRAIL中和抗体の添加にてデングウイルス感染により生じるHepG2細胞の生存率の低下は抑制され、デングウイルス感染後のHepG2細胞の培養上清中にELISAにてTRAILが検出された。TRAIL遺伝子-1056/+86 bp領域を含むルシフェラーゼ発現プラスミドを用いたレポーターアッセイやゲルシフトアッセイの結果、デングウイルス感染によるTRAIL遺伝子の転写活性の亢進には-75/-66 bpに存在するNF-κB配列とSPI配列が重要であった。NF-κB阻害剤でHepG2細胞を処理すると、TRAIL mRNAの発現誘導が抑制され、細胞生存率の低下も解除された。デング出血熱患者の中には血清TRAIL高値の症例が存在し、急性期に比べて回復期には血清TRAIL値は低下した。 【考察】肝細胞はTRAILに感受性があり、デングウイルスは肝細胞に感染後、TRAILの発現を誘導することによりアポトーシスを誘導する。デングウイルスのTRAIL遺伝子転写制御に重要な領域は-126/-33 bpのNF-κB配列とSP1配列であり、デング出血熱では血清TRAIL高値の症例が存在する。
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