研究課題/領域番号 |
15019101
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
高桑 雄一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40113740)
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研究分担者 |
小早川 隆敏 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (10072951)
萬野 純恵 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (10101205)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | マラリア原虫 / ATP / 赤血球 / レクチン / 赤血球変形能 / バンド3蛋白質 |
研究概要 |
(a)マラリア原虫の侵入を許すための赤血球膜の状態(必要条件)についての検討 (a-1)「MgATPにより赤血球膜の脂質配向性が維持されることでマラリア原虫の侵不が容易になる」MgATP存在下および非存在下に調製したゴースト膜を用いて、マラリアの侵入について検討した。MgATP濃度(1mM)を保ったゴーストでは、Flippase活性を介して脂質非対称分布が維持されることで赤血球と同様の中窪み円盤形と膜安定性が保たれ原虫の進入を許した。しかし、MgATPが存在しないゴーストでは形態変化(外方突出)と膜の不安定化が見られ、原虫の侵入率は低かった。これらの事実は、赤血球に備わっている膜の性質が原虫侵入の必要条件であることを示唆している。 (a-2)「レクチン(WGA)により赤血球膜の変形能が低下する(即ち膜が堅くなる)とマラリア原虫は侵入できなくなる」WGAで処理した赤血球の変形能が著しく低下していることをレーザー回折法(自作装置)で確認し、原虫の浸入について測定した。その際、原虫感染赤血球とWGA処理赤血球をそれぞれを認識する蛍光プローブを用いてFlowcytometerで定量的に算定した。その結果、WGA処理した赤血球では原虫の侵入が完全に抑制されることが明らかになった。このことから、赤血球膜が正常より堅くなると、原虫の侵入に必要な膜の変化が起こりにくいことが示唆された。なお、WGAによる変形能低下は、WGAが膜を貫通するバンド3蛋白質の糖鎖に結合することで、バンド3-アンキリン-スペクトリン間の構造変化が起こり、変形能を担うスペクトルの伸展性が低下したためと考えられた。 (b)マラリア原虫からのシグナル(因子)によって引き起こされる赤血球膜の変化(十分条件)についての検討 原虫から分泌される因子(EBA-175など)は侵入局所の赤血球膜の性質を変化させると考えられる。実際、原虫培養液を加えると赤血球の膜安定性は低下した。このことから培養液に含まれる原虫由来の何らかの因子によって赤血球は局所で内包陥没型変化を起こしやすくなると予想される。現在、因子の同定と膜安定性低下の機序について検討している。
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