研究課題/領域番号 |
15019121
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
武部 豊 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 室長 (50126116)
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研究分担者 |
椎野 禎一郎 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 主任研究官 (90291129)
草川 茂 国立感染症研究所, エイズ研究センター, 主任研究官 (10267990)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
2003年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | HIV / 遺伝子組換え / 適応進化 / 多剤耐性ウイルス / 分子進化 / アジア |
研究概要 |
遺伝子組換えはHIV-1が高度のゲノム多様性を生み出す重要な要因である。しかし遺伝子組換えが、現実のフィールド株のゲノム上のどのような領域で、どのような特異性によって起こっているかは、in vivoの組換え実験の系を除いては、ほとんど明らかにされていない。そこで、我々は、分布するHIV-1株の10-30%が組換えウイルスであるミャンマー中部をフィールドとして選び、この地域に流布する組換えウイルスの組換え点(recombination breakpoints)を詳細にマップすることで、組換え点周辺の遺伝子配列上の特徴、組換えのホットスポットの探索を行った。その結果、 (1)解析した2.6-kbのgag-RT遺伝子領域当たり1-6個(平均3.3個)の組換え点が検出された。これは、HIV-1ゲノム全長でみると、数〜十数個の多重の組換え点をもった複雑な構造の組換えウイルスが新生していることを意味するものである。 (2)overalの組換え構造はウイルス株毎に異なるが、組換え点のいくつかは相互に共有されていることが明らかになった。組換え点の多くは、中国で見出される組換え型流行株(CRF07_BCとCRF08_BC)と同一と考えられ、ミャンマーに分布するURFの一部は過去の共通の組換えeventによって生み出されたことがはじめて示唆された。 (3)組換え点近傍には、逆転写酵素反応の減速(paising)によって遺伝子組換え(鋳型乗換え)を誘導すると考えられているhomopolymeric tract(同一ヌクレオチドが連続している配列)が他の領域に比べ、1.5倍程度高い頻度で見出されること。組換え点は、gag(p17-p24)間やprotease-RT間のようなタンパク質の機能的ドメインの境界部にしばしば観察され、遺伝子組換えによるウイルスのfitnessの低下を回避するような選択圧がかかっていると推定されることなど、現実のフィールドで見出された組換え点の塩基配列上およびその生物学的特徴に関する解明が進んだ。
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