研究分担者 |
植田 敦三 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (50168621)
馬場 卓也 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 助教授 (00335720)
山口 武志 福岡教育大学, 教育学部, 助教授 (60239895)
二宮 裕之 愛媛大学, 教育学部, 助教授 (40335881)
岡崎 正和 上越教育大学, 学校教育学部, 助手 (40303193)
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研究概要 |
平成16年度の研究の主な目的は,小学算数と中学数学の接続を念頭に置きながら,算数から数学への移行の本質を一般化や記号論の視座から明らかにすることである。研究の結果,アメリカ・イリノイ州立大学のPresmeg博士が提唱する「記号論的連鎖(semiotic chaining)」の枠組みと,その連鎖の上昇を特徴づける比喩の視座から,「図形の作図」に関する授業実践を分析した。その上で,隠喩的,隠喩・換喩的,換喩・隠喩的,換喩的という4つの比喩によって特徴づけられる「四層記号連鎖モデル」を理論的枠組みとして新たに定式化した。この四層記号連鎖モデルの理論化を通じて,「算数的表現を活用し,新たな対象を生じさせる前移行的記号化」と「生じさせた対象をさらに反省し,数学的表現に再変換する後移行的記号化」という2つの記号化が,算数から数学への接続過程において重要であることを指摘した。 また,平成16年度の研究の一環として,平成16年11月には,ドイツ・ドルトムント大学のWittmann博士を招聘して,第3回国際ワークショップを開催した。Wittmann博士は,本研究の理論的基盤となっている「教授単元(Teaching Units)」の理論を提唱している研究者である。Wittmann博士からは,「教授単元」や「本質的学習場」を理論的背景としながらドイツで精力的に展開されているプロジェクト「mathe2000」について,最新の研究成果をご講演いただいた。同時に,本研究グループの研究成果を発表しながら,それについて適切なコメントをいただき,2年間の研究成果を総括した。
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