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中国六世紀の詩文総集『文選』の写本・版本と当時の別集との関係

研究課題

研究課題/領域番号 15021204
研究種目

特定領域研究

配分区分補助金
審査区分 人文・社会系
研究機関東北大学

研究代表者

佐竹 保子  東北大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (20170714)

研究期間 (年度) 2003 – 2004
研究課題ステータス 完了 (2004年度)
配分額 *注記
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2004年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2003年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
キーワード文選 / 文選集注 / 別集 / 一人称 / 二人称 / 奏弾劉整 / 陸善経 / 任〓 / 李善注 / 劉孝標注 / 陸機 / 演連珠 / 対偶 / 駢儷文 / 修辞学
研究概要

『文選』の古い版本には、奇妙な箇所が数カ所ある。皇帝への上表文や上司に宛てた書簡で、「私は」と一人称を称すべき所に「公は」「君は」と敬称の二人称を用いているのである。『文選』の古写本では、そうした箇所がさらに増加する。しかもそれらは南朝梁代の任〓の作品に集中して現れる。『文選』所収の任〓の作には、もうひとつ奇妙なことがある。彼の「奏弾劉整」の中間部分にある860字ほどの記述が、1000年代に筆写されたと見られる『文選集注』の正文と注に拠る限り、李善注本系であった正文では162字、陸善経注本『文選』では48字、五臣注本『文選』のみ860字余であったというのである。五臣・李善・陸善経の当時置かれていた状況を調べると、もっとも良い知的環境にあったのは陸善経であることが分かる。陸善経は、いわゆる「開元の輯書」の直後に集賢殿書院に詰めており、唐代においては空前絶後の善本の集積を前にしていた。彼の拠った『文選』が善本であったこと、彼が別集本も見ていたことは、『文選集注』から推定できる。つまり、くだんの860字は任〓の別集が収める「奏弾劉整」にあり、『文選』はそれを48字に削っていたのであり、陸善経はその双方を見たと考えられるのである。したがって860字を含む唐代の五臣注『文選』や現行の版本『文選』の正文は、別集の痕跡を残していることになる。ここで先述の奇妙な自称について再考すれば、これも、別集や家集の痕跡と見られる。別集・家集は多く子孫が編むため、父祖の名が敬称に置き換えられる。現行の『文選』に別集の痕跡があるのは、おそらくその欠失部分がかつて別集で補われたためと推測される。その痕跡が任〓の作に集中しているのは、任〓が宮中の本を補いうるほどの蔵書家であったこと、彼の死後に子供たちが没落していることと関わるだろう。

報告書

(2件)
  • 2004 実績報告書
  • 2003 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2004 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 文献書誌 (4件)

  • [雑誌論文] 総集『文選』のなかに見える別集の痕跡-奇妙な自称と「奏弾劉整」、および陸善経注本『文選』の価値について-2004

    • 著者名/発表者名
      佐竹 保子
    • 雑誌名

      東北大学中国語学文学論集 9

      ページ: 25-54

    • 関連する報告書
      2004 実績報告書
  • [文献書誌] 佐竹保子: "陸機「演連珠」の構成上の特質"六朝学術学会報. 4. 17-37 (2003)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書
  • [文献書誌] 佐竹保子: "陸機の天人対--先秦から西晋に至る対偶の一様相--"集刊東洋学. 89. 20-39 (2003)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書
  • [文献書誌] 佐竹保子: "陸機「演連珠」五十首について--その多元性と叙情性--"日本中国学会報. 55. 29-44 (2003)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書
  • [文献書誌] 佐竹保子: "郭璞「客傲」訳注およびその位置づけ"東北大学中国語学文学論集. 8. 13-52 (2003)

    • 関連する報告書
      2003 実績報告書

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公開日: 2003-04-01   更新日: 2018-03-28  

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