研究課題/領域番号 |
15021214
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
人文・社会系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
金 文京 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (60127074)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2004年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 〓志謨 / 争奇シリーズ / 類書 / 湯顕祖 / とう志謨 / 童婉争奇 |
研究概要 |
昨年に引き続き、十七世紀前半、中国の明代末期に活躍した文人、〓志謨の作品と出版活動について研究した。〓志謨は、その豊富かつ多彩な作品活動にもかかわらず、従来の文学史ではほとんど注目されることのなかった人物であるが、特に出版と文化との関係を考える場合には、きわめて興味深い人物であると言える。本年は特に、彼の作品の中でももっとも特徴のある『花鳥争奇』、『山水争奇』、『風月争奇』、『蔬果争奇』、『梅雪争奇』『童婉争奇』の争奇シリーズの内容を詳しく検討し、あわせてその出版との関係を考察した。争奇シリーズの中でもっとも早く製作された『花鳥争奇』は、ほぼ天啓初年(1620年代前半)に出版されたと考えられるが、その内容が物語の中に書物を出版するという筋を含み、作品自体が作品中で述べられた出版物そのものであるという興味深い構成になっている点に注目して、彼の創作活動が出版と密接な関係にあることを明らかにした。『花鳥争奇』のこのような構成は、その後の他の争奇シリーズ作品にも基本的に継承されており、明代末期の出版と文学創作の関係を考えるうえできわめて示唆的な存在であると言える。またこのような〓志謨の文学創作が、彼のもう一方の重要な仕事であった類書の編纂と表裏一体の関係にある点に着目し、この時代の小説、戯曲の創作方法とその背景にっいてのひとつの見方を示した。成果の一部は、2004年11月に開かれた台湾中央研究院文哲研究所主催の「明清文学国際研討会」において発表した。
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