研究課題/領域番号 |
15024230
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高橋 雅英 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40183446)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
2003年度: 5,400千円 (直接経費: 5,400千円)
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キーワード | Akt / 成長因子 / 成長因子レセプター / 細胞骨格 / 運動能 / シグナル伝達 |
研究概要 |
Protein kinase B/Akt(以下Aktと呼ぶ)はセリン、スレオニンキナーゼであり、受体型チロシンキナーゼの下流のシグナル伝達因子として、細胞増殖、生存などに重要な役割を果たしていることが明らかになっている。Aktは原癌遺伝子の一種であり、その恒常的な活性化は細胞の癌化と密接に関わっていることが多くの例で示されている。現在までにAktによってリン酸化される基質蛋白質が多数同定され、その生理学的、病理学的意義が解析されてきたが、Aktによる癌化促進機構は必ずしも明らかにはされていない。特に浸潤性の高い悪性の癌とAkt活性化に相関があるという報告もあるが、その機構は不明である。われわれはAktシグナル伝達経路の役割を解明する目的で、yeast two hybrid法を用いてAkt結合蛋白質の同定を行った。その結果、2つの独立したクローンを得、塩基配列を決定したところ、2つのクローンはoverlapした同じ遺伝子の配列を有していることが判明した。Aktのどのドメインに結合するかを詳細に検討した結果、AktのC末端領域と特異的に結合した。全長cDNAのアミノ酸配列の解析では既知の機能ドメインはなく、全く新規の分子である。C末端領域にAktによってリン酸化されるコンセンサス配列が存在し、in vivo kinase assayでAktによってリン酸化されることから、Aktの新規基質であると推定された。作製した抗体で細胞内局在を検討したところ、移動する細胞の先端部でアクチン細胞骨格系と共局在することから、細胞の移動、接着あるいは浸潤を制御している可能性が示唆された。よって今日まで研究が進められているAktの基質とは全く異なる機能を有している可能性が高く、未知であった細胞運動、癌浸潤におけるPI3キナーゼ/Akt系のシグナル伝達の役割を解明できるものと期待できる。
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