研究課題/領域番号 |
15024237
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
長澤 丘司 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (80281690)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2003年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | ケモカイン / ケモカイン受容体 / 骨髄 / ホーミング / 造血 / 幹細胞 / 血管 / 骨髄球 |
研究概要 |
胎生期、造血の場はダイナミックに移動し、大動脈壁から胎児肝に移り、末梢血管を経て、骨髄に至る。CXCL12欠損マウス胎児の造血幹細胞数を、競合的造血再構成法を用いて定量した結果、正常マウスと比較して、胎児肝で著差なかったが、骨髄で著明に減少しており、逆に、末梢血においては著増していた。これより、CXCL12は、胎生期の末梢血から骨髄への造血幹細胞のホーミングに必須であることが明らかとなった。次に、CXCL12欠損マウスの血管内皮細胞のみにCXCL12を発現させたところ、造血幹細胞の骨髄への定着が完全に回復し、CXCL12発現細胞は、血管に隣接して分布していた。以上の結果より、血管内皮周囲のCXCL12が、造血幹細胞のホーミングを支持することが明らかとなった。 一方、骨髄球系細胞は、胎児肝では多くの細胞が増殖期で、CXCR4を高発現するのに対し、末梢血、骨髄では、増殖期の細胞は存在せず、CXCR4の発現も弱かった。更に、CXCR4欠損胎児肝骨髄球系細胞を正常マウスに静注したところ、野生型細胞より骨髄への生着が著減していた。以上より、骨髄球系細胞も、末梢血より胎児骨髄へ移動し、この過程にもCXCL12が必須であることが示された。発生過程での造血細胞のホーミングとがんの転移は、末梢血管を介した定常的な臓器間の細胞の移動定着という点で共通しており、本研究を基盤として、がんの転移、進展など動的な病態の理解が大きく進む可能性がある。
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