研究課題/領域番号 |
15024274
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 国立長寿医療センター |
研究代表者 |
本山 昇 国立長寿医療センター, 研究所・老年病研究部, 室長 (50277282)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2003年度: 5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
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キーワード | Chk2 / p53 / ATM / 細胞周期チェックポイント / リン酸化 / Mdm2 / ゲノム / がん化 |
研究概要 |
細胞にはDNA損傷を監視し修復するチェックポイント機構が備わっており、ゲノムDNAを安定に維持している。p53はこのようなゲノムの維持機構においてkey playerとして働いている。p53は種々の細胞ストレスに応答してリン酸化・アセチル化などの修飾を受け安定化・活性化されることが明らかになってきたが、この分子メカニズムの全体像はまだまだ不明な点が多く、これらのメカニズムを詳細に解析することが必要であると思われる。私たちは、Chk2は放射線誘導アポトーシスに必須で、p53の安定化に重要な機能を果たすことを示した。本研究において、Chk2がmdm2のSer78をリン酸化し、Mdm2によるp53の分解活性が低下すること明らかにした。 ATMは細胞周期チェックポイント応答の開始において極めて重要な機能を果たしている。実際、ATMはp53のSer15を直接リン酸化することによってp53の制御を行っている。また、ATMはMdm2のSer396をリン酸化し、Mdm2-p53複合体の核外輸送を抑制する。さらに、Chk2のThr68をリン酸化し、Chk2を活性化する。本研究において、私たちは、Chk2によるMdm2のSer78のリン酸化を介して新たなp53の制御メカニズムを明らかにした。このように、チェックポイントの立役者p53の制御は、ATMによって開始される種々のシグナルカスケードによって制御されており、DNA傷害に対してゲノムDNAの安定化を維持している。 Chk2の変異が、家族性乳がんや弧発性のがんにおいて認められており、また、Chk2がp53同様BRCA1、E2F1、PMLやCdc25Aなどを活性化するシグナルトランスデューサーとして作用することが明らかにされつつある。このようなことから、Mdm2のSer78のリン酸化を介したp53の制御のみならずChk2を介した多くの制御経路はtumor suppressorとして作用していると思われる。
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