研究課題/領域番号 |
15025226
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
大橋 貴 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10282774)
|
研究分担者 |
原嶋 奈々江 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60345311)
|
研究期間 (年度) |
2003
|
研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
|
配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2003年度: 3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
|
キーワード | HTLV-I / Tax / ATL / siRNA / DNA vaccine / animal model / CTL |
研究概要 |
ATLに対する免疫治療の可能性の検討を目的とし、ラットモデルにおいてATL細胞に類似するHTLV-I感染T細胞の樹立、およびその性状解析を行った。ATL細胞ではTaxの発現低下が特徴であることから、Taxを標的にしたsiRNAを用いて感染T細胞のTax発現抑制を誘導し、発現低下が感染細胞に及ぼす影響を解析した。はじめに、Taxに対するヘアピンsiRNA発現ベクターをラットHTLV-I感染T細胞株FPM1.BP細胞に導入し、Taxの発現が低下しているサブクローンを得た。この細胞はコントロール細胞と比較してヌードラットでの腫瘍形成能、および転移能が著しく低下している一方で、Tax発現DNAワクチンで誘導したTax特異的CTLに対する感受性も低下していることが確認された。この結果は、Taxの発現抑制により、HTLV-I感染T細胞が生体内での増殖・転移能を失うという感染細胞の生存に不利な変化を起こす一方で、宿主免疫系からのエスケープという有利な形質を獲得することを示すものと考えられる。本モデル系はATL発症過程での感染細胞の動態の一端を示している可能性が示唆され、ATLに対する免疫治療の効果検証に有用であると考えられた。また、Tax特異的CTLのHTLV-I感染者における役割を検討するために、骨髄非破壊的造血幹細胞移植後に寛解状態が得られたATL症例におけるCTLのエピトープを解析したところ、単一エピトープに対するCTLが生体内で活性化増殖し、それが徐々に落ち着いてくることが判明した。単一エピトープに対するCTLの選択的増殖はHIV-I感染の急性期やHAM/TSP患者等で認められる現象であり、ウイルスに対する免疫応答の強い活性化を反映すると考えられる。これらのCTLがGVL効果の一端を担っている可能性が示唆され、今後ラットモデルを用いたGVL効果の検証が重要であると考えられた。
|