研究課題/領域番号 |
15025238
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
三善 英知 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (20322183)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2003年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | がんの転移 / マトリプターゼ / GnT-V / 糖鎖 / β1-6GlcNAc / プロテアーゼ / 甲状腺がん / トリプシン |
研究概要 |
申請書の目的に従い、以下の実験を行った。β1-6GlcNAc鎖をもつマトリプターゼと持たないものを各々精製し、degradation assayにより検討すると、β1-6GlcNAc鎖をもつマトリプターゼの分解が遅延した。種々のプロテアーゼ処理の中でトリプシンを用いた分解実験が最も差を認めた。マトリプターゼに存在する4箇所のアスパラギン結合型糖鎖にsite-directed mutagenesis法により変異を入れ、COSおよびCOS-GnT-V細胞に発現させたところ、どの部分にも糖鎖が付加されていることが確認された。各々のマトリプターゼのトリプシンに対する抵抗性を検討したところ、772番目のAsnの糖鎖欠損マトリプターゼが最も容易に分解された。すなわち、772番目に付加されるβ1-6GlcNAc鎖がプロテアーゼに対する抵抗性に一番重要な働きをしていることがわかった(以上Glycobiology14,139-146)。甲状腺癌組織を用いて100症例以上で免疫組織染色を行ったところ、マトリプターゼとGnT-Vの染色には非常に良い相関関係を認めた。さらに甲状腺癌細胞KAK-1にGnT-Vを過剰発現させdegradation assayを行ったところ分解抑制効果を認めた。細胞レベルで認められた糖鎖によるマトリプターゼの機能制御が、実際のヒト癌組織において認められたこと、また分子レベルで772番目の糖鎖構造に結合するβ1-6GlcNAc鎖が最も重要な意味をもつことから、マトリプターゼを標的にした消化器がん診断の基礎データは充分に蓄積されたと言える。今後ELISA系を確立させ、実際のヒト消化器癌の血清を用いて臨床診断法としての価値を検討してゆきたい。
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