研究課題/領域番号 |
15025269
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
谷川原 祐介 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30179832)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2003年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | ドセタキセル / CYP3A5 / 遺伝子多型 / 一塩基変異多型 / 非小細胞肺癌 / α_1-酸性糖タンパク質 / 薬物体内動態 / 薬力学 |
研究概要 |
タキサン系抗がん剤ドセタキセル(TXT)は、主としてチトクロムP450 3A (CYP3A)によって代謝される。近年、CYP3A活性の個人差を規定する因子として、そのサブファミリーであるCYP3A5発現の有無の関与が示唆されている。本研究では、CYP3A5の一塩基変異多型(SNPs)のうち酵素発現量の低下をもたらすCYP345^*3および^*6変異に着目し、その遺伝子多型がTXTの体内動態に及ぼす影響を非小細胞肺癌患者において検討した。 倫理委員会で承認された研究計画書および患者説明文書に基づいて、文書による同意の得られた非小細胞肺癌患者17例(男性13名、女性4名、年齢44〜79歳)を対象とした。TXT点滴終了時と終了後1、5、19時間目に採取した血漿中のTXT濃度はHPLC法で、また、血清中α_1-酸性糖タンパク質(AAG)はネフェロメトリー法で、それぞれ測定した。CYP3A5の遺伝子型はTaqMan PCR法を用いて診断した。 患者17名のCYP3A5遺伝子を診断した結果、CYP3A5^*1/^*1(野生型)1名(5.9%)、CYP3A5^*1/^*3(ヘテロ変異型)5名(29.4%)およびCYP3A5^*3/^*3(ホモ変異型)11名(64.7%)であり、CYP3A5^*6変異は検出されなかった。TXTの全身クリアランスは野生型およびヘテロ変異型群に比べ、ホモ変異型群の方が約30%低値を示した。また、多重回帰分析の結果、TXTの全身クリアランスとAAG濃度あるいはCYP3A5遺伝子多型との間には有意な相関が認められた。 以上の結果より、従来TXTの体内動態に影響する因子とされてきた血清AAG濃度に加えて、CYP3A5^*3遺伝子多型もその影響因子になり得ることが示された。
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