研究課題/領域番号 |
15026213
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
高村 昇 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (30295068)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2003年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 皮膚基底細胞癌 / セミパラチンスク核実験場 / 慢性低線量被ばく / Loss of Heterozygosity / PTCH / XPA |
研究概要 |
セミパラチンスク核実験場は旧ソ連邦時代1949年から50年近くにわたって、地上、地下核実験が行われたところである。核実験場周辺地区住民についての健康影響調査は、旧ソ連邦時代の秘密主義の影響もあり、まだまだこれからであるのが現状である。一方で最近、同地区周辺では、皮膚がんの増加が問題となっでおり、放射性降下物の慢性低線量被ばくの影響が懸念されている。 基底細胞癌の原因としては、紫外線、遺伝因子、化学物質などが知られているが、その他にも放射線の過剰被曝もそのリスクとなりうることが知られている。近年本腫瘍の発生に9番染色体長腕9q22.3に座位するPTCH遺伝子、さらにその上流に存在するXPA遺伝子の異常が関与していることが明らかになってきた。今回、本申請において我々は、同核実験場に多発している基底細胞癌におけるPTCH及びXPAの遺伝子解析を行うため、病変部及び正常部を特異的に抽出し、PTCH及びXPA遺伝子中、及び近傍のLoss of Heterozygosity(LOH)の有無を観察すると同時に、各遺伝子の塩基異常を検索し、セミパラチンスク核実験場周辺におけるこれら遺伝子の基底細胞癌の発生に対する関与の解明を試みた。 その結果、9q22.3領域におけるLOHの頻度は17.8%で、対照群(3.8%)に比して有意に高頻度に見られ、本領域による遺伝子の欠失が、電離放射線被ばくによる基底細胞癌の発症メカニズムに関与している可能性が示唆された。さらに、LOHはPTCH領域、XPA領域において独立して起こっており、電離放射線被ばくによる染色体の欠失が、比較的狭い領域で起こっていることが示唆された。今後、同地区における放射線誘発癌の発症メカニズムの解明のため、乳がんにおける染色体不安定性の検討、さらには甲状腺がんにおける遺伝子再配列の検索等を行っていく予定である。
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