研究概要 |
提案した計画に従って研究を遂行し、以下の成果を得た。 1)GFPとGRを融合させた6b(GFP-6b-GR)はDex依存的に核に局在した。6b-GRを構成的に発現させるタバコ(6b-GRタバコ)およびシロイヌナズナ(6b-GRシロイヌナズナ)は、Dex依存的に表現型を呈した。以上から、6bが核に局在することが機能的に必須であることを示した。核内では仁の近傍に局在していると考えられる予備的結果を得ている。このことは、発現が影響を受ける遺伝子(下記)に特異性があることと矛盾しない。 2)ヒストンH3の6b結合領域を絞り込み、ヒストンフォールド内に結合領域を特定した。N末端のテールには結合しないことが判った。一方、ヒストンとの試験管内結合には6bのC末端の24アミノ酸で十分であることを見いだした。 3)6b形質転換植物における遺伝子発現解析を行った。6bタバコではclass1-KNOXとNACK1が、また6bシロイヌナズナではclass1-KNOXとAS2およびAS2と相互作用するいくつかの因子が、それぞれ異所的または過剰に発現することを見いだした。6bタバコおよび6bシロイヌナズナの葉では、背軸側で異所的な細胞増殖が誘導される。今回、6bタバコの葉の背軸側でNACK1が異所的に発現していることをつきとめた。 4)KNAT1,KNAT2,KNAT6,STM, NACK1のそれぞれのプロモーターGUS形質転換体と6bシロイヌナズナとの交配を計画どおり終了した。 5)6b-GR形質転換体に代わり、HisタグおよびT7タグを付加した6bを条件的に発現させる形質転換シロイヌナズナを作成した。 以上から、決定的ではないが、アグロバクテリウムの遺伝子6bは、植物のクロマチンに影響をおよぼす可能性が示唆された。
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