研究課題
特定領域研究
リゾフォスファチジン酸(LPA)は多様な生理活性を引き起こす細胞外脂質メディエーターである。これまでLPAは幼若神経細胞の神経突起を一時的に退縮させることが示されている。この反応は微小管を安定化させるタクソールでは影響を受けないことがわかった。さらにLPA処理前後において細胞骨格画分におけるチューブリン量に変動がなかったことから、LPAの微小管に対する作用は脱重合の促進ではないと考えられた。むしろLPAは重合微小管の細胞体への輸送を促進していると思われる。さらにLPAによる微小管再編成には重合アクチンが必要であること、少なくとも部分的に微小管アクチン架橋因子(Microtubule actin-crosslinking factor/MACF)が関わっていることが示された。一方、微小管を構成するチューブリンは様々な様式の翻訳後修飾(チロシン化、アセチル化、ポリグルタミン酸化など)を受けることが知られているが、LPA処理によりいずれのチューブリンも再編成されることがわかった。これらのうち、ポリグルタミン酸化チューブリンは他のチューブリンとは異なりアクチンと共存していることが初めて示された。この種のチューブリンは細胞の運動性などに関与していると考えられるため、アクチンとの相互作用を介して細胞形態や運動を制御している可能性が考えられる。実際にポリグルタミン酸化されない変異体チューブリンを神経細胞内に導入すると神経細胞形態が異常になることが示された。今後これらの点を詳細に検討し、細胞外メディエーターによる細胞骨格制御がどのように神経回路形成に影響しているかについて明らかにする。
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