研究課題/領域番号 |
15029208
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 貴文 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (10262081)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
6,600千円 (直接経費: 6,600千円)
2004年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2003年度: 3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
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キーワード | カルシウム / 小脳プルキンエ細胞 / 神経細胞 / 樹状突起 / IP3受容体 / カルシウムチャンネル |
研究概要 |
細胞内Ca^<2+>放出チャンネルである1型イノシトール3リン酸受容体(IP3R1)は小脳プルキンエ細胞に非常に豊富に発現しており、ERからのCa^<2+>放出の主要な機能を担っている。プルキンエ細胞樹状突起でのCa^<2+>動態はきわめて複雑な時間,空間的特性をもっており、細胞内メカニズムを厳密かつ精妙に制御している。平行線維入力時のプルキンエ細胞樹状突起のCa^<2+>動態において、細胞外からの流入・細胞内放出機構それぞれの関与の度合いを詳細に検討した。50Hz、3〜8発の刺激で見られるCa^<2+>の流入と細胞内からの放出による二相性のCa^<2+>上昇は、刺激回数を増加すると一相性となり、持続時間は刺激回数に比例し、50発刺激ではCa^<2+>上昇は6〜8秒程度持続し、Ca^<2+>濃度は200μMにまで上昇していると推定された。この大きなCa^<2+>上昇はほとんどがCa^<2+>流入によるものであり、更にNa^+濃度とCa^<2+>濃度変化を比較した結果、P型Caチャンネルを通ったCa^<2+>がその本態であることを明らかにした(Kuruma et al.,2003)。 更に小脳皮質の生後発達に伴うCa^<2+>放出活性の変化を検討するため、異なる日齢のマウスを用いて二相性Ca^<2+>上昇を観察した。2〜3週齢のマウスのプルキンエ細胞ではCa^<2+>放出が相対的に大きく、4週齢以降では逆にCa^<2+>流入の方が大きかった。すなわち平行線維刺激で誘起されるプルキンエ細胞樹状突起のCa^<2+>動態は2週前後の幼弱なマウスにおいてはCa^<2+>放出がCa^<2+>流入よりも支配的であり、成長に伴ってそれが逆転することが示された。2週と4週齢のマウスを用いて平行線維・プルキンエ細胞シナプスのLTDの起こりやすさの差異を検討した。2週齢では平行線維刺激のみでLTDを起こす場合が見られ、同時に測定したCa^<2+>放出活性の大きさとLTDの度合いに相関が見られた。同じ刺激方法では4週齢ではLTDは見られなかった(投稿準備中)。以上の結果から、小脳皮質が発達・成熟をする2週齢前後では、シナプス結合の可塑的変化や成熟化にシナプス後部のCa^<2+>放出能が重要な役割を果たしているという結論に至った。
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