研究課題
特定領域研究
SSER法は特定遺伝子の機能部位において、完全にランダムな配列から機能配列のみをin vivoで選択する方法で、研究代表者が考案した全く新しい機能配列解析法である。本研究ではSSER法を用い、リボソームRNA(rRNA)の機能解析を行うことを目的とした。特に23S rRNAのペプチド転移反応と16S rRNAのコドン解読能に焦点をあてる。リボソームRNAの機能部位を完全にランダマイズし、リボソームの機能に必須な配列のみを細胞内で選択することによりリボソームRNAの機能を解析する。また迅速な選択であるため、リボソームの本質的な機能には影響しないものの、活性が低いがために自然選択で排除されてきたような、変異体を選択できる点が特徴でもある。したがって進化的な保存性からは見逃されていた真の機能的な保存性を知ることができ、rRNAの本質的な役割を抽出することができる。また、本手法を用いてリボソームRNAに系統的な欠失・短縮変異、あるいは挿入変異を導入することが可能である。本年度の成果として以下のことが挙げられる。全146個のRNAヘリックスのうち40箇所で短縮あるいは欠失が可能であった。欠失変異を組み合わせることで、100塩基以上の短縮に成功した。また、トランスポゾンTn5を用いた系統的挿入変異導入を行い、23Sr RNAに36箇所、16S rRNAに16箇所の挿入変異体を得た。これら挿入可能部位は、真核rRNAで伸張している全18領域のうち13領域に一致したことから、真核生物のrRNAは進化の過程で挿入変異を繰り返すことで、新たな機能ドメインを獲得したことが強く示唆された。また、rRNAは短縮・挿入・分断化などの変異に対してフレキシブルであり、rRNAの変化が進化の過程においてリボソームアーキテクチャーを改変する原動力になっている可能性が示された。
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