研究課題/領域番号 |
15030210
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
久保 健雄 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10201469)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
2004年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2003年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | ミツバチ / 攻撃行動 / 社会性昆虫 / 脳 / ウイルス / 感染 / 遺伝子 / 非翻訳性RNA |
研究概要 |
ミツバチは社会性昆虫であり、そのコロニーでは個体間分業が見られる。本研究では、ミツバチの社会行動に関わる遺伝子候補として、2種類のRNA関連遺伝子:(1)攻撃蜂の脳から同定された新規なRNAウイルスと、(2)ミツバチ脳から同定された新規な非翻訳性核RNAに関する研究を進めた。 (1)我々は既に、攻撃性が高い働き蜂の脳から新規な昆虫ピコルナ様ウイルス(Kakugoウイルス)を同定しており、働き蜂の攻撃行動がウイルス感染と関連する可能性を指摘してきた。今年度は、Kakugoウイルス感染がどの程度、働き蜂の攻撃行動と関連するか調べるため、疫学調査を行った。その結果、コロニーレベルでの感染量が低い条件ではKakugoウイルスは攻撃蜂に選択的に検出されたが、感染量が高いコロニーでは攻撃蜂以外の働き蜂(育児蜂や採餌蜂)にも感染が蔓延している例が見出された。これはKakugoウイルスの感染が限定された条件下でのみ攻撃性と関連することを示唆している。感染量が多いコロニーで、コロニー全体としての攻撃性が上昇しているかの検証が今後の重要な課題である。 (2)我々は既にミツバチ脳で機能する非翻訳性核RNAの候補としてAncR-1を同定している。AncR-1は組織特異的に発現し、通常のmRNAと同様、スプライシングやpoly(A)付加を受ける一方で、in situハイブリダイゼーション法で核に局在して検出される点でmRNAとは異なる。今年度は、ミツバチ脳の核RNAを用いて作製したAncR-1 cDNAの構造を解析した結果、やはりAncR-1は核に濃縮されて存在し、プロセシングを受けることが確認された。これは組織特異的に発現するmRNA型の非翻訳性核RNAを同定した最初の例であり、ミツバチの行動制御の分子メカニズムだけでなく、新規なRNA分子種の発見という観点からも興味深い知見である。
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