研究概要 |
リボソーム生合成はおもに核小体で行われ、rRNAを中心としたネットワークにより、膨大な数の構成成分と調節因子が時空間的に相互作用して超高分子リボソームを作り出している。rRNAの転写、修飾およびプロセシング、蛋白質とのアセンブリ、核小体から核質、さらに細胞質への輸送という複雑な過程を経る。本研究では、rRNA前駆体のプロセシングとリボソームサブユニットアセンブリに関与する調節因子、特にEbp2pとRrs1pについて詳細に解析し、それら因子を介した、rRNAの転写、rRNAのプロセシング、サブユニットの核外輸送など、各反応過程間の連携について解析している。今年度の成果は以下の通りである。 (1)EBP2をbaitとして、酵母cDNAライブラリーから、two-hybrid法において相互作用を示す蛋白質をコードする遺伝子を多数取得した。Ebp2は60Sリボソームサブユニットの組立に必要な蛋白質以外に、40Sリボソームサブユニットの組立に必要な蛋白質Yi1019w/Faf1,Utp11,およびリボソーム蛋白質S16とも相互作用することを見出した。この結果から,Ebp2は60S前駆体と40S前駆体に分かれる前の90S前駆体に結合して、2つのサブユニットの協調的な生合成に関わっていることが示唆された(発表論文J.Biol.Chem.279:25353) (2)PCRによりランダムに変異を導入し、rrs1変異株を取得した。rrs1変異株の解析から、Rrs1pが60Sリボソームサブユニットの核外輸送にも必須であることを明らかにした。60Sリボソームサブユニットの組立過程において、核小体における初期の段階から細胞質へと輸送される直前まで、Rrs1が60Sリボソームサブユニットに結合していることを示唆する結果を得た(発表論文FEBS Let 565:106)
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