研究課題/領域番号 |
15032219
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
天野 豊己 静岡大学, 理学部, 助手 (90297945)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2004年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 植物 / ATP依存性プロテアーゼ / セネセンス |
研究概要 |
植物は真核生物である。このため、メンブレントラフィックによる酸性オルガネラへの輸送やユビキチン-プロテアソーム系を介したタンパク質分解の機構が存在する。また、葉緑体やミトコンドリアなどの共生説で説明されるオルガネラを含有しており、原核生物特有のタンパク質分解機構も存在している。本研究では、植物におけるタンパク質分解系から、真核生物型の代表としてプロテアソームを、原核生物型の代表としてFtsHプロテアーゼの解析を行った。 プロテアソームは、細胞の機能維持や分化に必須の多機能性プロテアーゼである。プロテアーゼ活性の反応中心が存在するのが20Sプロテアソームと呼ばれる複合体で、7つのαサブユニットからなるリングと7つのβサブユニットからなるリングが2段に重層した構造をとっている。植物では、これらのサブユニットが病原菌の感染や糖飢餓などの外部刺激で変化することが知られている。 本年度は、植物の老化過程におけるプロテアソームの機能および構造の変動を解析するため、オオムギより20Sプロテアソームの精製系の確立を行った。緑葉由来のプロテアソームと老化葉由来のものを比較したところ、緑葉由来のものには37kの未確認のサブユニットが強固に結合しており、SDSで活性化しなくても充分な活性を示した。これに対し、老化葉由来のものは典型的な20Sプロテアソームの性質を示した。生化学的解析の結果、緑葉由来のプロテアソームにはプロテアソーム活性化因子であるPA28と類似したタンパク質が結合し、プロテアソームを活性化させていることが示唆された。植物においてはPA28に関する報告はこれまで皆無であり、プロテアソームの植物における新しい機能が期待される結果を得ることが出来た。この結果は現在Plant J.に投稿中である。 FtsHプロテアーゼは、葉緑体に存在する膜結合性のATP依存性プロテアーゼである。現在解明されている機能は、光化学系IIのD1タンパク質の分解除去である。このプロテアーゼが欠損するとシロイヌナズナでは斑入りの表現形を示すことが知られている。このため、葉緑体の機能維持に必須のプロテアーゼであると考えられている。 本研究では、タバコ由来のFtsHプロテアーゼの大量発現系を構築と、斑入りの表現型を示した部位への部位特異的突然変異体の作成を行った。現在、全部で20種類の変異体の作成が完了している。発現系はpET21aにFtsHを導入し、4種類の大腸菌株と2種類の温度条件を検討した。さらに、最適なIPTG濃度の決定と、10種類の蛍光ペプチドの中から特異的に切断するペプチドの選定を行った。その結果、大腸菌と同様のSuc-LLVY-MCAとBoc-VLK-MCAが分解されることを見出した。発現パンパク質は、細胞封入体として大量に発現するほか、可溶性画分にも蛍光ペプチドを分解する活性を見出した。
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