研究課題/領域番号 |
15032233
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
阿保 達彦 岡山大学, 理学部, 助教授 (90303601)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
2004年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
2003年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | trans-translation / lac operon / 翻訳 / 転写 / プロテアーゼ / ssrA / LacI / tmRNA / 遺伝子発現制御 / バクテリア / 環境応答 / SsrA |
研究概要 |
tRNAとmRNAの双方の機能を兼ね備えることからtmRNAとも呼ばれるRNAはssrA遺伝子にコードされ、trans-translationにおいて中心的役割を担う。trans-translationは主に終止コドンを持たないmRNAの3'末端でストールしたリボソームに対しておこる現象で、そのA部位にtmRNAがまずtRNAとして入り、その後翻訳がtmRNA上のコード領域にスイッチして続行される特殊な翻訳機構である。その結果出来るタンパク質は、もとのmRNAが何であれ、そのC末端にClpXPなどのプロテアーゼの標的となるtmRNA由来のアミノ酸配列を持つため、合成された直後に速やかに分解される。 大腸菌Lactose RepressorをコードするlacIは、そのORFの最後の部分がLacI結合部位と重複し、そこに結合したLacIが転写伸長を妨げるため不完全長のlacI mRNAが出来、その3'末端でtrans-translationがおこる。ssrAを欠失する大腸菌株において、誘導物質添加に対するlac operonの発現応答が遅れるという現象が見られ、通常速やかに分解除去される不完全長のLacIが、trans-translationがおこらないために細胞内に残り、それがlac operonの発現応答の遅れの原因の一つになる可能性が考えられた。実際にtmRNA欠損株で見られる分解され残った短いLacIに相当するC末端欠失LacIは、DNA結合活性の誘導物質に対する感受性が完全長のものよりも低くなっていることがin vivo, in vitro双方で示された。また,このような短いLacIに対応する短いmRNAも検出された。これらの結果は、trans-translationが調節タンパク質の品質保持を通して菌体の外部環境変化に対する素早い応答を保証していることを示唆する。
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