研究課題/領域番号 |
15033217
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山下 晃一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40175659)
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研究分担者 |
中村 恒夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30345095)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2004年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2003年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | 光触媒反応 / 酸化チタン / 可視光応答 / 炭素ドープ / 第一原理計算 / 密度汎関数法 / 酸素欠陥 / 不純物準位 / 窒素ドープ / バンド計算 / バンドギャップ |
研究概要 |
炭素ドープしたルチル型およびアナターゼ型酸化チタンについて、その微視的な構造と光学応答の機構を、密度汎関数法による第一原理バンド計算により調べた。計算にはルチル型・アナターゼ型とも8倍セルを用い、その中の酸素原子を炭素と置き換えたセルに対して構造最適化を行った。更に酸素欠陥を一つ含む構造についても計算を行った。炭素をドープしたルチル型とアナターゼ型酸化チタンの両者について、純粋な酸化チタンとは異なり可視光応答性を持つことが確認できた。更に電子の状態密度を調べると、どちらの場合もバンドギャップ間に3つの不純物準位が生じていることが解った。生じた不純物準位のうち、最もエネルギー準位が高いものは空軌道であり、可視光応答性は酸化チタンの価電子帯よりこの不純物準位へ電子が遷移することによりもたらされるものと理解される。また酸素欠陥を伴う構造では、先の炭素ドープのみの場合よりも、より可視光に近い領域で可視光応答性を持っていることが明らかとなった。更に、酸素欠陥が炭素原子近くの特定の位置に生じた場合には、遠方にある場合と比較して1eV近く内部エネルギーが低くなることを見出した。簡単な統計力学に基づく自由エネルギー評価を行い、実験での炭素ドープ率・酸素欠陥率・温度条件下で、このような炭素ドープと酸素欠陥の隣接したペアが、十分に安定であることがわかった。しかしこれら酸素欠陥を伴う構造では、酸素欠陥サイトから放出された電子が、炭素ドープによる不純物準位へと流入しており、可視光応答をもたらす機構も不純物準位から酸化チタンの伝導帯への電子遷移によるもので、炭素ドープのみの場合とは大きく異なっていた。
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