研究課題/領域番号 |
15036216
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平岡 秀一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10322538)
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研究分担者 |
塩谷 光彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (60187333)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2003年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 分子運動素子 / ディスク状多座配位子 / 銀(I)イオン / 配位子交換 / 分子認識 / 自己集合 |
研究概要 |
六つの2-チアゾリル基を有するディスク状六座配位子と、三つの2-チアゾリル基を有するディスク状三座配位子、および三つのAg^+イオンからヘテロトピックなAg_3L・L'型の錯体が定量的に形成することが^1H NMR、ESI-TOF Mass測定より明らかになった。 さらに、293KにおけるAg_3L・L'錯体の^1H NMRスペクトルは、六座配位子のチアゾリル基は全て等価に観測された。これは隣り合う二つのチアゾリル基がAg^+イオンに対し橋掛けして配位する3配位のAg^+中心の形成か、もしくは六座配位子の三つのチアゾリル基がAg^+イオンに配位した2配位のAg^+において六座配位子の隣り合うチアゾリル基間で配位子交換しているかのいずれかである。温度を低下させて、Ag_3L・L'錯体の^1H NMR測定を行った結果、213Kにおいて六座配位子のチアゾリル基は積分比1:1に分裂し、六座配位子のチアゾリル基は直線二配位でAg^+イオンに配位しており、隣り合うチアゾリル基間で配位子交換していることが明らかになった。 配位子交換のメカニズムは、配位に関与しないチアゾリル基が回転し、隣接するAg^+イオンに配位して3配位の遷移状態を経て、結合の組み替えが起こるものと考えられる。このとき、上下の配位子の結合の組み合わせは60°ずれることから、ディスク状三座配位子から作られるAg_3L_2錯体内に見られる、結合の開裂を伴わないフリップ運動とは異なる配位子交換を介して作られる新たな回転運動を作り出すことができた。今後、配位子交換とフリップ運動を組み合わせることにより、上下のディスク状配位子が相対的に360°自由回転を行い、三つのAg^+イオンおよび上下の配位子がそれぞれボールとベアリングとして働く、分子レベルのボールベアリングの開発が可能になるものと考えられる。
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