研究課題/領域番号 |
15036232
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
増田 秀樹 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (50209441)
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研究期間 (年度) |
2003
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研究課題ステータス |
完了 (2003年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
2003年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 酸素の可逆的脱着 / 鉄二核錯体 / プロトン移動 / パーオキソ錯体 / C-H活性化能 / 銅(III)二核錯体 / μ-η^2:η^2パーオキソ二核銅(II)錯体 / 水素結合 |
研究概要 |
本研究では、次の2テーマについて遂行した。 (i)酸素の可逆的脱着能を示す鉄二核錯体反応場の構築と反応制御:酸素運搬蛋白質であるヘムエリスリンは活性中心に二つの鉄がその活性中心として存在している。酸素分子は二つの鉄(II)により二電子還元されてパーオキサイドになる際に、鉄-鉄間の架橋ヒドロキシル基からプロトンを受け取り、単座ハイドロパーオキソの形で運搬される。このプロトン移動は、酸素分子の可逆的な脱着に必須な、鉄と酸素分子の間での電子授受において重要な役割を果たしていると考えられているが、その詳細な解釈は得られていない。本研究では、このような機能を有する二核鉄(II)錯体を、生体系を規範として独自に設計したピバルアミド基を有するポリピリジン配位子を用いて合成し、この錯体の酸素に対する反応性を検討したところ、プロトン移動を伴い酸素を可逆的に脱着するパーオキソ錯体の構築に初めて成功した。 (ii)高結合C-H活性化能を示す銅(III)二核錯体の合成と反応性:生体内には二核銅含有酵素があり、酸素の運搬や有機物への酸素添加反応を行っている。ヘムエリスリンやチロシナーゼにおける酸素付加体の構造は、酸素分子を二つの銅で架橋したμ-η^2:η^2-パーオキソ二核銅(II)種であることが分光学的、構造学的手法により明らかにされている。さらに近年、低分子量モデル錯体による研究により、μ-η^2:η^2パーオキソ二核銅(II)錯体のO-O結合が開裂して、より酸化数の高いビス-μ-オキソ二核銅(III)錯体が生成することが報告されている。本研究では、N-H基を有する配位子を用いて検討した。即ち、骨格が剛直で水素結合可能な三座型アミン配位子を用いて銅酸素錯体を合成し、その酸素錯体の分解過程を追跡したところ、配位子の水酸化反応が確認されたことから、生成した銅酸素錯体は酸化力の高い錯体であることが示唆された。
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