研究課題/領域番号 |
15038201
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大谷 栄治 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60136306)
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研究分担者 |
鈴木 昭夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20281975)
久保 友明 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (40312540)
近藤 忠 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20252223)
舟越 賢一 (船越 賢一) (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門I, 副主幹研究員 (30344394)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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研究課題ステータス |
完了 (2004年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2004年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2003年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | マグマ / 粘性 / 放射光 / 密度 / 高温高圧 |
研究概要 |
火山爆発の準備過程において、密度がマグマの上昇を左右する最も重要な物性である。 本研究においては、玄武岩マグマについて、高温高圧下における粘性係数、密度と弾性率、そして構造を、SP8に設置された高圧装置をもちいて、高温高圧での放射光を用いたX線撮像法、X線吸収法、そしてX線回折法を駆使することによって明らかにした。具体的には(1)海洋底玄武岩(MORB)組成のマグマの粘性係数を約5GPaまで測定した。そして2-3GPaに粘性係数の最小が存在することを世界に先駆けて明らかにした。このような粘性係数の挙動は、高温高圧のもとでマグマの構造が変化することを示唆している。また、水2wt%を含む玄武岩マグマの粘性係数を5GPaまで測定し、含水条件ではマグマの粘性が大きく減少し、無水マグマに認められた粘性の最小が存在せず、圧力とともに粘性係数が増加することを示した。(2)放射光X線の吸収を測定することによる密度測定法を開発し、圧力1GPaおよび3GPa、高温の条件での玄武岩組成のガラスおよびマグマの密度の測定に成功した。X線吸収法によってマグマの密度を測定した最初の例である。さらに、(3)SP8設置のマルチアンビル高圧装置を用いて約1GPa及び3GPaの条件で、X線回折法によって、ガラスおよびマグマの構造の決定を試みた。まだ予備的な実験結果であるが、1GPaと3GPaのマグマの構造が異なることを見出した。1GPa高温のマグマに比較して、3GPaにおいてはSiまたはAlの局所構造が変化し、配位数の増加する傾向が認められた。この結果は、上記の密度と粘性の変化の様式と矛盾しない。上記のようなX線その場観察法とともに(4)含水マグマの密度をダイヤモンド結晶の浮沈法によって明らかにした。水2wt%を含む海洋底玄武岩マグマの密度を約17GPaまで測定し、マグマ中の水の部分モル体積を決定した。これによると、上部マントル最下部では、水2wt%程度を含むマグマは上部マントルの岩石よりも重くなり、ここに含水マグマが安定に存在する可能性がある。
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