研究概要 |
火山噴火のなかで,最も激しい噴火様式とされているマグマ水蒸気噴火の機構を解明する目的で,(1)溶融金属と水,(2)溶融ガラスと水を用いてマグマ水蒸気噴火を実験的に再現して,その現象を撮影して観察・解析した. (1)の実験では,約700℃,1〜4gのすず液滴を常温の水に滴下し,反射光によって高速度ビデオカメラを用いて爆発の過程を撮影した.あわせて蒸気爆発の激しさに関与する物性値や落下条件について無次元解析を行い,熱拡散率,動粘性系数などが現象に大きく影響することを示した.ここからマグマが極めて自発的な蒸気爆発を発生しにくい物質であることを定量的に示した. (2)の実験では,約1100℃の溶融ガラスにスズを加えたものをルヅボ毎水に投入して,ガラスが微粒化することを示した.ガラスのみでは爆発が起こらないことから,スズが起爆剤の役割を果たしていると考えられる.微粒化の過程でガラスの熱エネルギーが水に伝わり,爆発をより大きなものにすることが推定される.微粒化した0.1m以下のガラス粒子を顕微鏡観察し,水との接触による急冷によると思われる数μm間隔の縞模様を持つ粒子が多数生成されることを示した.今後,圧力測定を行い,スズだけの場合やガラスとスズの割合による爆発の大きさを定量的に明らかにすることが望まれる.
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