研究課題
特定領域研究
我々は、膵への発生分化の機序を明らかにするために、ES細胞を用いて、膵臓への分化過程を再現出来る実験系を構築している。これまでに、膵幹細胞のマーカーであるpdx-1遺伝子発現を容易に検出可能のために、pdx1遺伝子座にlacZレポーター遺伝子をノックインしたES細胞を用いてきた。その結果、(i)膵臓原基とEs細胞との共培養、(ii)TGF-β2の添加、(iii)Es細胞への内胚葉誘導因子c-mix遺伝子の強制発現、によっでES細胞から膵への分化誘導が促進されることを明らかにした。さらに、ES細胞由来の膵幹細胞をリアルタイムで追跡し、生きた細胞を純化するために、pdx-1遺伝子の発現をGFP(緑色蛍光タンパク質)で可視化した。まず、pdx-1-GFPトランスジェニックマウス(Gu et al.,2002)より、ES細胞株を樹立した。トランスジェニックマウスにおいては、pdx-1遺伝子が膵臓幹細胞で特異的に発現されることがすでに確認されているので、樹立したES細胞から分化したGFP陽性細胞は膵に特異性があると考えられた。このES細胞株から、効率よくES細胞から膵へ分化が誘導されることが確認された。ES細胞から誘導されたpdx-1/GFP陽性細胞をセルソーターを用いて、GFP陽性細胞の蛍光強度に基づき分画した。RT-PCR法により解析した結果、GFP陽性分画にpdx-1陽性細胞が濃縮されていることが分かった。このES細胞由来のpdx-1陽性細胞について、遺伝子発現網羅的解析を行なった。我々の系で得られた膵幹細胞の遺伝子プロファイルと、既に報告されているマウス胎生7.5日目の正常内胚葉層及び膵幹細胞の遺伝子発現プロファイル(Gu et al.,2003)と比較した結果、マウス胎生7.5日目の内胚葉で発現する遺伝子プロファイルとよく似ているプロファイルであることが明らかとなった。
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Genes to Cells (in press)
Biochem.Biophys.Res.Comm. 327
ページ: 1170-1178